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  1. 鳥取県議会 2010-02-01
    平成22年2月定例会(第8号) 本文


    取得元: 鳥取県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-07
    ▼最初の箇所へ        午前10時00分開議 ◯議長(小谷茂君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の議事日程は、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。  それでは、議案第1号から第20号まで、第33号から第67号まで及び第69号から第77号までを一括して議題といたします。  これより、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  19番伊藤保議員 ◯19番(伊藤保君)(登壇、拍手)議員の皆さん、執行部の皆さん、おはようございます。  鳩山政権が誕生して6カ月余り、この間大きな期待と裏腹に、政治と金の問題等で有権者の皆さんの期待を失墜させている現状に対し、地方にあって党を支えている一人として素直におわびを申し上げますとともに、前政権を支えてこられました本議場におられます議員各位のこれまでの苦悩を改めて思い知る昨今であります。  それでは、通告に従いまして、3点の課題について順次知事に質問をいたしたいと思います。  新政権の政策については、代表質問を初め一般質問において各分野から議論されてきたところであり、中でも地域主権についての議論は、我が会派の山田議員との間でかなり深い議論が行われてきたところでありますが、私は長年地方行政に携わってきた一人として、市町村の視点で地域主権について改めて知事の認識をお伺いしたいと思います。  私はこのたびの政権でいろいろな改革がマニフェストに掲げられ、その実行に向け鋭意努力されている今日、中でも一番注目しているのは、これまでも議論されたところでありますが、鳩山総理が地域主権改革元年と位置づけ、地域主権の確立に向けひもつき補助金を廃止して一括交付金化、国の出先機関を原則廃止、地方交付税法定率引き上げなど、これまでの政治ではできなかった課題の改革への挑戦であります。今まさにこれらの改革を実現するために、象徴的な施策として国と地方の協議の場が閣議決定され、今国会に法案として提案されようとしております。今議会においても代表質問を初め一般質問で国と地方の協議の場の議論がありましたが、淡々としたやりとりで、私の受けとめ方では平井知事はこのことに余り期待をされていないように感じられました。私から見れば国と地方の協議の場が設けられること自体大変なことで、今日までの我が国の政治、行政の長い歴史からして、まさに画期的な政策であると私自身思うのであります。  その具体的な例として、鮮烈に思い浮かぶのが小泉政権下での三位一体の改革であります。地方分権一括法が施行され、国、県、市町村は対等と言われながら、現実的には地方の声が無視され、一方的に交付税が大幅に削減された苦い経験があります。そういう意味を含めて国と地方の協議の場の設置は地方自治体にとって悲願の政策であったわけであります。今、国と地方の協議の場が法制化されようとしているわけでありますが、平井知事には国と地方の協議の場が設定されるという意義についてどのように認識をされているのか、改めてお伺いをいたします。  また、法案の中身を見てみますと、協議の場には原則国側から内閣官房長官地域主権改革担当大臣、総務大臣、財務大臣、総理大臣が指定する国務大臣、地方からは地方六団体の代表が参加することになっております。協議の対象は国と地方公共団体との役割分担、地方自治に関する事項、国の政策に関する事項のうち地方自治に影響を及ぼすと考えられるものと、大きく3項目であります。特筆すべきは分科会を開催し、特定の事項に関する調査、検討を行うことができると規定されていることであります。このことは前段でも申し上げましたが、地方分権一括法が施行され機関委任事務が廃止され、法定受託事務に改められ、国、県、市町村は対当と言われながらも、まだまだ地方自治体は仕事のやり方を国の法令等で束縛されたり、ひもつき補助金等で現実的には国に管理されてきたのが実態であります。全国知事会でも104条項の廃止を国に申し入れられていると仄聞をしているものの、いまだ具体的な方向は示されておりません。そうした中、こうした問題を対等な立場で、しかも平場で議論することはこれまで到底考えられなかったことであり、画期的と私が評したゆえんでもあります。平井知事としては、国と地方の協議の場が開催されるときには何を一番の協議事項として望まれるのか、さらにどんな項目について分科会等で協議が進むことを期待されるのかお伺いをいたします。  次に、気象観測設備についてお伺いをいたします。  以前この議場で雪みちNaviの紹介と議論をいたしましたが、以来雪みちNaviは好評を博し続け、年間80万件を超えるアクセスがあります。県でも一番利用されているサイトでもあります。数年前、積雪時に県道の峠の積雪状況を報告していただく積雪観測員が高齢で離職されました。その後、後任者が見つからない中で雑談から始まったようなシステムでありますが、24時間いつでもどこでもだれでもどこからでも峠の道路状況を確認することができるため、鳥取県では大ヒット中のサイトであります。私の本音といたしましては県と開発した業者でパテントを取り、全国に売り出すとともに、少しでも県の収入にでもなればと思ったこともあるような安価で優秀なシステムであります。  ところで、このサイトにアクセスすれば峠における積雪状況を目で確認できる上、降雪、積雪、気温の状況を数値で確認できるようになっております。ここでお尋ねですが、これらの数値を表示するような県が設置する設備はどの程度あるのか、また、そのうち気象業務法に規定する気象観測機器はどの程度あるのか知事にお伺いをいたします。  続きまして、QRコードについて質問をいたしますが、議長のお許しを得て参考資料をお配りしておりますので、議員の皆さんはそれを見ながら質問をお聞きいただきたいと思います。  バーコードは水平方向、いわゆる横方向のみについて情報を持つ一次元コードと、水平と垂直方向の2方向、いわゆる縦横に情報を持たせる二次元バーコードがあります。スーパーやコンビニで商品を購入する際、レジで金額を打つことなく商品にはられているバーコードにより会計が行われておりますが、この横長のバーコードは情報量が少なくてもよい一次元コードでありますが、縦横に情報が入る二次元バーコードには数百倍のデータを表現できるばかりか、平仮名、漢字、さらにはデジタル化した音楽や画像も表現できるというものであります。この二次元バーコードの一種がQRコードで、ほとんどの携帯電話をかざすことによって必要な情報が得られるというすぐれものであります。QRコード国際標準化機構で認定され、全世界で利用可能なパブリックドメインコードになっております。  県としても、最近とりネットモバイルを初めいろいろな分野でQRコードの活用が目につくことが多くなってきたように思いますが、県としてはQRコードの活用方法をどのように考えておられるのかお伺いします。  以上で壇上での質問を終わります。
    ◯議長(小谷茂君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)伊藤保議員一般質問にお答え申し上げます。  まず冒頭で、政治と金の問題についてのコメントをいただいたわけであります。これは今まさに世上随分と議論をされておるところであります。やはり政治家としての矜持としては国民から、住民から信頼されるものでなければならない、その際に、やはり国民の目線から見て金銭の問題というのは大きな問題である、それはすなわち国民の皆さんがそれぞれに自分自身にとってお金というものについていろいろと苦労したり、時にはいろいろと問題があったりということを体験的に知っているからであります。それから政治の透明性だとか、また政治に対する何か力が働いているのではないかとかいろんなことを想起させてしまう、思わせてしまうところがあるわけであります。ですから、ぜひともこの政治と金の問題については、一日も早く一刻も早く解決をするようにしなければならないと思います。ただ、一朝一夕でできることではないのもまた事実だと思います。これまでも自民党、公明党の政権のもとでもいろいろと政治と金の問題についての改善策を提案せざるを得ないような状況があったり、今も民主党中心の連立政権でそういうような状況があるわけでありますけれども、いつまでもたってもこの問題が政界から離れないことに対する国民の不信こそ強いのではないかと思います。地方政治のレベルではおよそ考えられないようなけたの話が出てくるわけでありまして、本来ならばもっと別の政治のやり方があるのではないかと考えさせられることがしばしばであります。ぜひともこの機会に国会で大いに議論していただいて、抜本的な解決をしていただきたいと思います。  次に、国と地方の協議の場についてのお尋ねをいただきました。国と地方の協議の場の設置についてどういうふうに認識をしているのか、これについて余り評価していないのではないかというお話がありました。  私は本当の意味の地域が国と対等のパートナーになるそういう政治構造、行政構造をつくろうと思いますと、この両方のコミュニケーションがしっかりととれて現場の感覚が国政にも通じ、国のほうのいろんな地方に対する注文も本来はあるのでしょう、そういうものも地方側は受けとめて自分たちも自分たちの役割を果たす、こういう体制をつくらなければならないと思うのです。  これは各国でいろんな仕組みができているわけです。ドイツであれば連邦の参議院のほうで地方代表が議席を持つことでこれを担保していく、国の予算から法律から、そういうものに対する事実上の拒否権のような形を持っているわけであります。フランスでも事実上は上院というものが市町村長などの地方代表が多く入っているシステムになっています。これは間接選挙ということもありまして、そういう傾向があるわけでありますが、このようにいろんな形で地方側の意見が国政の中で担保される仕組みができ上がっているのだと思います。  我が国の場合は、圧倒的に中央集権体制の中央側が強かったのが明治維新以来の姿だと思います。戦後に入りまして、憲法上地方自治というものが制定をされたわけでありますし、そういう地方自治の本旨にのっとった制度がつくられてきたわけであります。ただ、制度はできていても、では実質で本当の意味で地方側の地方自治というものが真実担保されるような税財政制度を常に国が補償してきたか、あるいは一つ一つの制度改正に当たりまして、地方側の現場の混乱というものをしり目に見ながら勝手に国がやっていたのではないか、こういうことは枚挙にいとまがないわけでありまして、本当の意味で地方が対等なパートナーになっていないということではないかと思います。ですから国に対して地方が協議の場を求めるということは、これまで長く地方側の課題でありました。その意味で、今回の協議の場の法定化というものは画期的な意味があるだろうと思います。  ちょっと沿革をたどってみれば、この国と地方の協議の場ということが大きく言われ始めたのは地方分権の議論が本格化したことだったと思います。ただ、平成16年から18年といったような三位一体改革がなされていたころ、このときにも国と地方の協議の場と称するものができました。内閣の中で主要なメンバーが地方側の代表と話し合うということがありました。小泉政権のもとでなされたこうした協議の場もあったわけでありますが、内実は、要は地方分権をやれということを地方側が言う。そうだったら地方側のほうから国庫補助金の削減のリストをつくってくれと、こういうやりとりになりまして、削減のリストを出しましょうと、現実に出てきたわけでありますが、結果としてはそれとは関係のないリストに基づきまして国庫補助金の削減がなされました。さらに地方側にとって一番バイタルな問題でありました交付税のところ、これは協議対象として余り明確になっていなかったこともあるのかもしれませんが、年末にふたをあけてみますと既に大幅削減が決まった格好になっていたと、こういう経緯がありました。ですから、協議の場は確かにできたわけでありますけれども、ある意味、国のほうの帳じり合わせに利用されたのではないかと、そういう嫌いもないわけではなかったと思います。ですから、大切なことは、そういうことは当たり前のこととして、この国の仕組みの中で協議の場を設置することだと思います。法律で定められるということは義務化されるわけであります。内閣といえども国会が決めた法律に拘束されるわけでありますから、その意味で大変な前進であることは間違いないと思います。  問題はここから先のことだと思います。この辺を私が議場で申し上げるので期待していないのではないかというお話が出たのではないかと思いますが、協議をした結果が国政の中に確実に反映されるような仕組みが次にないといけないわけであります。今回の法律案の中でいろいろとやりとりがありました。地方側の意見がほぼ取り入れられたと私は思います。つまり協議項目も地方側のほうではかなり幅広い協議項目を示していました。それが読めるような形で今法案が制定をされています。また、現実問題、六団体の代表だけで話し合いをするというのではとても細かいところといいますか、制度の微細に至るまでらちが明かないわけでありまして、分科会を設置すべきだということを私も知事会の任に当たっておられます皆さんに申し上げていたわけであります。この分科会設置も国側は大変な抵抗が実はありました。ありましたけれども、最終的には分科会設置を認めるということで折り合ったわけであります。このようにしてかなり地方側の要求をのんだ形にはなっていますけれども、最終的に同意権を地方側に与えたかというと、そういうわけではありません。ですから、協議はしなければならないという義務があります。協議の結果に対する、そこに出席した議員には尊重義務があります。ただ、内閣総理大臣メンバー構成に加えるようにという地方側の要求は最終的には入っておりませんで、出席することはできるということになりましたので義務的にはなっておりませんので、そういう意味で本当にそれが担保されるのかどうか、まだ不安があるのが実態かなと思います。問題は実践行動でありまして、ではこれからどういうふうに協議が回ってくるか、そこに注目をすべきではないかと私は申し上げてきたところであります。  国と地方の協議の場につきまして何を一番の協議項目と望み、どういう協議が進むことを期待するのかということであります。この協議の内容として、鳥取県の執行部として非常に気になりますのは、やはり今焦眉の課題であります地方分権地域主権改革のことは、これは第一番目の協議事項としなければならないと思います。なぜなら、大きな制度改正によってドラスチックな変化がやってくる可能性があります。必ずしも財源が潤沢な状況ではありませんので、国、地方を通じてどうやってスリム化をするかということが当然ながら背景にありながらの議論になります。そういう意味で、特に小さな団体がきちんと仕事ができるように担保されるかどうか、これは不安があるところでありますので、ぜひとも協議の場としてしっかりと機能を果たしていただきたいと思っております。  このほかにも、例えば社会保障の関係、これから高齢者医療の問題だとか介護のあり方だとか、また児童福祉といったような子供たちの問題など焦眉の課題がございます。制度改正が近々に予定されているものもございます。こうしたものも今までは国から一方的に成案が示された格好でありましたけれども、タイミングが大切でありますが、その前の段階で地方側から意見を述べる機会を担保すべきだと考えております。  また、そのほかにも地方の出先機関、これを廃止をしていくということ、これをぜひに求めたいと思いますが、これも地方側に対して大きな影響を与える可能性があります。この辺などを丁寧に、まずは分科会を設置するなどをしてやっていただきたいと考えております。  次に、雪みちNaviにつきまして、このナビに関連するなどして気象業務法に規定する気象観測機器がどの程度あるのかというお話でございます。詳細は県土整備部長から申し上げたいと思います。  雪みちNaviは非常に便利なサイトになったと思います。これは職員とか現場の提案が生きた格好のモデルだと私も思っております。現に自分自身もプライベートに見ることが多いのはこの雪みちNaviというサイトが含まれておりまして、なぜなら、見れば一目瞭然で現在の降雪状況がわかるわけであります。またこれとよく似たサイトで、河川の今の流量の状況とか、そういうのもリアルタイムで示すような情報がサイト上にございます。こうしたサイトは、住民の皆様に現実にどうなっているかということを目で見ていただいて、それで自分はこうしなければいけないという、こうすべきだということの対策を立てやすくするには非常に効果のあるサイトだと思っています。例えば、雪道の状況によっては自分の車だったらこういう装備をしなければいけないとか、あるいは自分はもうきょうはやめておこうかとか考える人もおられるでしょう、あるいは交通手段としてそれを見て、もうきょうは飛行機もあきらめたほうがいいのかもしれないと、さっさと列車に切りかえるかとか、さまざまな用途が出てくるわけでありまして、いい意味でIT化のモデルになったと思っております。  これについては気象観測機器の設置を当然ながらしなければいけないわけでありますけれども、220基設置をしまして、そのうち気象関係の法制で一定の義務づけがあるのが165基という状況でありますが、詳細は部長のほうから申し上げたいと思います。  次に、QRコードについてお尋ねをいただきました。QRコードは大量の情報が入れられる大変便利なものでありますが、その活用を県としてどういうふうに、どのようにしているのかということであります。  今でもとりネットモバイルでありますとか防災情報でありますとか、また県のサイトから飛べるようなバスの時刻表を判別するそういうサイトなどにつきまして、このQRコードを活用させていただいております。大変便利なものであります。今や携帯電話というのはお財布だとか、あるいは腕時計などと同じように外出するとき、いろんな職場でもそうでありますけれども、常に携帯をしている、持っている、それが標準化されつつあると思います。ですから、いわばハイテク機器を常に持ち歩くような時代になったわけでありますので、このハイテク機器を単なる電話だけではなくて、情報媒体として情報発信に県なり公共セクターが使わせてもらうというのは十分考えられることだと思います。  QRコードの中には2通りの役割があって、1つはそのQRコードの中にインターネットサイト、ウエブサイトの名前を埋め込んでおきまして、それでそこにアクセスいていただいていろんな情報検索をしたり自分なりの情報収集に役立ててもらうということがあります。そういう使い方と、あともう一つはQRコード自体に文字情報を埋め込んでおいて、その情報を読むことで、例えば観光地に行けば、ここはこういうような、水深が何ぼであって、それからこの岩はどういう成分であって、これはどういうふうにしてできてというようなことの情報を瞬時に得ることができる、こういうようなことになろうかと思います。しかも、それを携帯電話のデータの中に入れて持ち歩くことができるわけでありますので、後々にその情報をリピーターとして使ってもらうことも可能になってくるわけであります。  こういうように大変便利なものでありますので、今それぞれの部局ごとに考えてこのQRコードというのを設定をしておりますけれども、さらに計画的といいますか、体系的に県民の皆様や観光客、あるいはいろんな事情で鳥取県のサイトを訪れる人たちなどに使っていただく必要があるものを整理をしていく必要があると思います。まだまだできていないところは正直あるかと思います。まだ我々も試行錯誤の状態であると思いますが、ぜひ体系立った活用ができるように庁内で体制を整えてまいりたいと思います。 ◯議長(小谷茂君)谷口県土整備部長 ◯県土整備部長(谷口真澄君)気象観測設備の現状についてということの質問に対してお答えいたします。  本県は防災体制とか除雪業務、これを実施する上で気象状況を把握するための気象観測機器といたしまして、県の防災情報システム、それから雪みちNaviなどに220基を設置をしております。その内訳は、温度計52基、積雪計52基、雨量計61基、水位計55基というものでございます。これらのうち気象業務法に規定されたものは水位計の55基を除きまして165基というものでありまして、そのうちに雪みちNaviが54基含まれているというものでございます。 ◯議長(小谷茂君)19番伊藤議員 ◯19番(伊藤保君)知事、答弁ありがとうございました。私もコミュニケーションの場となるよう、本当にこの協議の場というのは期待しているわけでありまして、充実したものになるということを願っております。  先ほど申し上げましたように、国と地方の協議の場が公的に整いますと、地域のことは地域で考え、地域で決め、地域で責任を共有するという、まさに現政権が目指すところの地域主権が急速に加速されていくものと私は思っております。しかし、県下の市町村の状況を見回してみますと、地域主権に向け急速にアクセルを踏み込むことができる環境にあるかと申し上げれば、残念ながら地域主権への認識並びに執務体制は、かなりまだら模様になるものと思っておりますし、県議会で行われているような地域主権に向けての議論や県では設置して協議を始めている地域主権研究会などの取り組みが十分ではない状況にあると私は思っております。  このように、市町村の裁量が大きくなるという期待感が高まる一方で、市町村の自主的な取り組みは低く、まだら模様の状態のまま地域主権が進めば、市町村間で公共サービス全般にわたり格差が大きくなるという懸念が生じるわけであります。知事として市町村の意識改革を含め、その対応をどのように考えておられるのか改めてお伺いをしたいと思います。  次に、気象観測業務法第6条並びに第9条に地方公共団体が教育や研究目的以外の気象観測を行う場合並びに災害の防止に利用することを目的として気象観測を行う場合には、正確な観測、観測方法の統一性を確保するため、気象観測施設設置の届け出を気象庁長官に行うことが義務づけられている上、観測に適したものであるかの検査、要するに検定に合格したものでなければならないと明記されております。雪みちNavi気象観測業務法に定められた検定を受けなければならない気象観測施設に該当するものと私は思いますけれども、県の見解を改めてお聞かせいただきたいと思いますし、また気象庁からこのことについて、これまで指導があったのかなかったのか、あわせてお伺いをしたいと思います。  次に、QRコードについての追及に入ります。私がQRコードについて質問をいたしましたのは、その活用方法に無限の可能性があると思うからであります。ほとんどの人が持っている携帯電話さえあればいろいろな情報を入手することができるからであります。  昨年、常任委員会で函館に出張したときのことであります。空港を出てすぐ目に入ったのは市内の観光案内板でありました。その案内板にかかれていた名所の横にこのQRコードです。早速携帯で情報を検索すると名所の詳細が記載されておりました。これも一つの活用方法かと思いましたけれども、農産物の栽培情報、それから包装紙に特産品の食べ方、環日本海交流時代を迎えた今日、観光地の案内板を韓国語、中国語、ロシア語で表示するとか、観光地の童謡や民謡を音楽で紹介するなど、まさに限りない活用の夢が広がると思いますとともに、その活用によっては消費者や観光客としっかりとした信頼関係も私は築けるものと思っております。さらに行政分野においても、すべての交通標識に貼付することにより、交通事故等のときの位置情報として活用できるとか、県への申請書類の処理状況の管理など県民への行政サービス向上に向け、いろいろな活用ができるのではないかと思うのであります。現状を申し上げれば、使途については、先ほどありましたように各部署任せで、把握されているところが全くないようであります。利用価値が多岐にわたる反面、用い方やコンテンツを間違えたら大変なことになる危険性も一方であるわけで、県のどこかでQRコードの集中管理担当をつくり、点検や活用の方法を促すことを考えられたらいかがなものかと思いますけれども、知事の所見をお伺いします。 ◯議長(小谷茂君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねての御質問にお答え申し上げます。  まず、国、地方の協議の場が設置をされるわけでありますが、市町村の裁量が大きくなるという期待感の一方で、まだら模様の状態になってしまうのではないか、市町村格差が拡大するのではないか、意識改革を含め市町村に対する対応をどういうふうに考える必要があるのかというお尋ねでございます。  当然、地域主権が進んでまいりますと、それぞれ地域の力量に差があれば、それが住民生活にも影響してくることは当然考えられようかと思います。ですから、その地域主権に基づく制度改革の設計図は慎重につくらないといけないところがあると思います。理念で割り切るのは簡単だと思うのです。例えば、これはもう市町村レベルでやればいい、これは県レベルでやればいい、だからこのことは全部県はやらないで、市町村がやるということにしましょうと。ただ、現実問題として市町村には大きさの違いが随分あったり、福祉行政でいえば障害者福祉のどれだけ専門的な人間がいるのか、こうした人に対応できる人がちゃんといるのかというのは、現状でも市町村によって力量に差が随分あります。そうなりますと、国のほうは今までの様子ですと、では市町村は合併して大きさを変えればいいということを言うのでありましょうけれども、ただ、市町村が合併することは逆にサイズが大きくなり過ぎて声が届きにくくなるという、そういうデメリットも同時に生じるわけであります。ですから本当に合理的に考えるのであれば、人材が得られるところがその仕事をやるのが正しい選択肢だということもあり得るわけであります。市町村のサイズによっては県のほうが市町村の委託を受けてやるとか、あるいは市町村が共同でお互いに協力し合いながらこういう人材配置をしましょう、そこに県も入っていって、市町村と県との共同機関をつくってそれで処理をするというようなやり方もあってもいいのだろうと思います。  ともかく、最終的に出口ベースで住民の皆さんにとって一番いい姿の行政サービスの提供が効率性のことも十分考えた上でなされる、しかもそのサービスを民主的にコントロールできるアクセスも近くの窓口に保障されるというのが必要ではないかと思うわけであります。これは、結局現場主義でいろいろとやっていかなければならないわけでありまして、まずは市町村の自覚と市町村自身の改善、改革を求める必要があると思います。あわせて、市町村の力量でできないことがあるのであれば県も一緒になって考えていく、市町村同士で協力をし合うことなどの新しい方策も導入していくことが必要ではないかと思います。今、我々も地域主権の研究会をやっているわけでありますが、議論するとそういう方向に進んでいくわけでございまして、市町村とか県が共同して設置をする協議会の法人格がついたようなバージョンの団体をつくってみてはどうかとか、そういう議論が始まってきております。  ただ、今地域主権改革の議論は急速に進んできます。ですから、それに伴って自治法改正の議論、基本法制の改正の議論も進んでまいります。これは市町村の権能についての話も当然ながら出てくると思いますし、議会のあり方なども協議項目に入ってくると伺っております。急速に進んでくる議論の状況を市町村の皆様にも御自身で当然ながら情報をキャッチしてもらう必要があると思いますが、県内でも地域主権の議論が今こういうふうになっていると、県全体でこういうような声を逆に今の検討が進んでいる国のほうの委員会なりに届けようではないかとか、そういう議論をしてみたり、また地域主権はこういう方向に進んでくるのだから、我々のほうではこういう分野で体制をぜひつくっていこうと、必要があれば県も入るような形でつくってもいいとか、そういう協議をこれから活発にやらなければいけないだろうと思います。そういう意味で、これから地域主権の議論が進んでくる中で市町村との話し合いを密にしたり、啓発の機会を十分につくっていく必要があると思います。  次に、気象業務法との関係で重ねてのお尋ねがありました。検定を受けなければならない観測施設設置に当たるのではないか、県の見解はどうか、気象庁からの指導はなかったのかという点でありますが、これも県土整備部長のほうからお答えを申し上げたいと思います。  今までのところ、例えば河川情報などの災害関係では受託事業者からの指摘もありまして、そうした気象業務法との関係での届け出なりということは済ませてきているところではありますけれども、雪みちNaviのほうは残念ながらそれができていないということでありまして、改善を要するところであろうと思います。  悩ましいのは、片方で機器の更新とか結構なお金のかかる話にもつながるところがございますので、そうした状況も横にらみはする必要はあるかと思いますけれども、我々としては改善すべきこと、改めるべきことは改めていく必要があるだろうと思っております。  最後にQRコードの活用についてお話をいただきました。例えば農産物の栽培情報でありますとか、あるいは交通標識に設置をして位置情報を入れたらどうかだとか、観光情報を看板に入れる際に英語だとか韓国語だとかロシア語だとか、そういうものが出てくるようにQRコードを設置してはどうだろうかとか、非常に示唆に富んだお話だと思います。私もせっかくQRコードができているわけでありますから、県の持っているとりネットなどのサイト情報と複合させることで、飛躍的にこの地域の観光だとか、あるいは物産の価値が高まる可能性があると思います。例えば、お店に行ってQRコードに当ててみれば、これはどこのだれさんがつくったものですよと、それに対して農薬はこうですよとか、あるいは牛であれば、これはこういうような来歴の牛ですよとか、そういうことがわかるようになれば安心して消費者の方も食べられるということになりますし、だからこそ買ってみようかという人が出てくるわけでありまして、付加価値にもつながるものではないかと思います。そうしたQRコードの無限の可能性といってもいいと思いますが、これを鳥取県として率先して使ってみる、やってみるというのは非常に値打ちのある話ではないかと思います。  今、県庁の中にIT担当の参事監がいるわけでありまして、ITの活用についていろいろと計画を練っているということではありますけれども、私はそう悠長なことを言うよりも、QRコードに絞ってプロジェクトチームを設置するなら設置をして、この活用を全庁的に考えてみたいと思います。その組織などは、今の時期でありますので現員の中でということになろうかと思いますけれども、ITにも通じた者もおります。そうした人材と、それからこのようなことであれば非常に使い道があるのではないかと、若手の方々を中心としていろいろとアイデアに飛んだ話があろうかと思います。QRコードを活用したIT先進県づくりについて、県職員だとか県民の方にも意見を募集するなどをして、早く設置できるものでありますので、速やかにそうした推進体制づくりができるように、組織立った体系的な活動をしてまいりたいと思います。 ◯議長(小谷茂君)谷口県土整備部長 ◯県土整備部長(谷口真澄君)気象業務法に定められました届け出、検定の状況についての補足のお答えをしたいと思います。  気象業務法に規定された届け出、検定を要する気象観測機器は165基ございます。そのうちの県の防災情報システムに設置しているものが111基ありますが、これについては届け出を済ませております。雪みちNaviに設置している54基、これはまだ届け出を行っていないという状況でございます。また、165基のうちの104基はまだ検定を受けていないという状況でございます。  気象庁のほうのお話でございますが、平成20年度に気象庁のほうは気象庁以外の他の機関の気象観測機器の機器データを活用していきたいという目的を持たれまして、アンケート調査を実施されているというふうに伺っております。しかし、今日まで気象庁から県に対して届け出とか検定について、特に御指導はないという状況でございます。 ◯議長(小谷茂君)19番伊藤議員 ◯19番(伊藤保君)ありがとうございました。  これまで市町村の認識について議論をしてまいりましたけれども、やはり一番重要なのは住民の皆さんの意識改革であろうと思うのであります。県下でも合併から4年後の町長選挙等、それから議会議員選挙が行われておりますけれども、無投票を否定するわけではありませんけれども、余りにも無投票が多いことはお任せ民主主義といいますか、有権者の皆様がなかなか脱皮し切れていないのではないかと心配するものであります。  特に、地域主権の目玉である一括交付金制度が導入されたときには、市町村の認識次第では活用の方法が変わってくるものと思いますし、民意の熟度の程度によって住民への行政サービスの質そのもの自体にも大きく作用していくものと思います。最終的には、民意の熱度が低ければ、結果責任だけが住民にはね返る懸念も想定されるわけであります。  大きな成長が望めない中、本当に手の届く幸せを実践できる、そんな地域づくりができる今がチャンスであると私は思っておりますし、この可能性が、この地域主権には秘められていると思っております。逆に何もしない自治体は、まさに不信感だけが住民に蔓延し、地域が崩壊の一途をたどる可能性もあると思っております。  民意の醸成は、本来は市町村の役割になるわけでありますけれども、このように地域主権に向けた民意の醸成も今喫緊の課題であると思いますけれども、知事の所見並びに県として今後、計画しておられることがありましたらお聞かせをお願いしたいと思います。  次に、気象観測業務法に定められた気象観測施設の設置に該当するということで先ほどありましたけれども、しなければならないということがなぜここまでわからなかったのでしょうか。多分安易に考えられていたのではないのかなとは私自身思いますけれども、要するに積雪情報ですから、そんなに深刻な届け出をしなければならないという部分がなかったのかなと思いますけれども、一般的にはアクセスの非常に多いサイトでありますし、より信頼されるサイトとして情報を提供するためにも、やはり早期に定められた検定を受けるべきだと思います。県の対応をお願いしたいと思います。特に、今度は防災課のほうで一元化も計画されているようでありますし、しっかりとした情報をきちんと提供できるようなシステムにしていただきたいと思います。知事の所見を求めたいと思います。 ◯議長(小谷茂君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)まず、地域主権につきまして民意の醸成も必要ではないか、また県として計画しているようなことがあれば知らせてほしいというお尋ねをいただきました。  何のために地域主権をやっていくかということでありますが、これは住民のためであります。例えば、国の地方出先機関を県なり市町村なり権限移譲をして移していこうというお話があります。これは、結局国の出先機関でありますと民意が届きにくいわけです。そこで何をやっているのかということについてコントロールがしにくい、その情報すら得にくいということがあります。仮に県であれ市町村であれ、そういうところが所管をしているものであれば、それは当然ながらこういう議会の場などで平場で議論することになりますし、住民に身近な窓口もできまして、そこについて物申していくこともやりやすくなるわけであります。ですから、住民の皆さんがそうした地域のさまざまなツールを自分たちの手の上に乗せて、それでそれを使っていくという、それができるようにするために地域主権改革をやるわけであります。この辺の意識がまだまだ欠けているのではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。遠い世界の中で国と県と市町村が権限争いをしているのではないかとか、そういうように見えるところがあるわけでありますけれども、そうではなくて実は自分たちのためにこの議論が行われているということを知っていただきたいと思いますし、それをきっかけにして、では自分たちがこういうまちづくりをやってみようとか、こういうようなNPOを立ち上げて活動してみようかとか、行政との協働について考え直してみようではないかとか、そういうように発展していかなければいけないのだと思います。それでこそ初めて地域の力が上がってくるのだと思います。こうした観点で地域主権について、例えばタウンミーティングをやるとか、そういうアイデアを我々のほうでも今考えているところであります。これから地域主権の議論が進んでいくに従って県なりの広報といいますかPR、住民の参画を促すような、そういう機会をつくっていきたいと思います。その詳細は企画部長からお答えを申し上げたいと思います。  次に、気象観測業務法に定められた気象観測施設設置をなぜ届け出していなかったのかというようなお話がございました。  これは、議員もおっしゃるように信頼されるサイトにならなければなりませんので、正すべきことは正さなければならないと。これは改めていきたいと考えております。  ただ、1つ申し上げれば、例えば気温をはかる温度計を設置することも気象業務法で届け出をして検定を受けなければならないということになるわけでありますが、本当にそこまで気象庁が国の規制を張りめぐらさなければならないのかなという気もしないでもないわけであります。もっと現場だとか、あるいは地域の仕様に任せていただけるべきものも本来はあるのではないかと、規制緩和の可能性についても国に訴えかけたいなという気持ちはあります。ただ、現行法の中で定められて我々も仕事をしておりますので、このことについては、改めるべきことは改めて、信頼されるようなサイトを目指してまいりたいと思います。 ◯議長(小谷茂君)林企画部長 ◯企画部長(林昭男君)地域主権の確立に向けた民意の醸成についての補足の説明をさせていただきます。  民意の醸成につきましては、議員からもお話がありましたように市町村の役割ということで、市町村のほうでは住民自治基本条例をつくるとか、あるいは地域での地域振興協議会というような地域単位の取り組みで自治について住民の皆さんが話し合っていただくと、あるいはそういう仕組みをつくるというような取り組みもされていますし、また智頭町のように百人委員会をつくって住民でそうしたことを考えていこうとか、あるいは北栄町でもみずから事業の仕分けを住民を交えてやっていくと、そういうような取り組みで住民の意識醸成を図っておいででございます。県といたしましても、民意の醸成につきまして来年度でございますが、県民の日の記念フォーラム、9月12日に予定をしておりますが、そうしたところでは鳥取力の創造運動ということをテーマにして、こうした地域のことをみんなで考えるというようなこと、あるいは自治会等と一緒になりまして住民自治について考えるフォーラムというようなものも計画をしているところでございます。また、知事からもお話がございましたが、住民自治を考えるタウンミーティングというようなものも実施をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。 ◯議長(小谷茂君)19番伊藤議員 ◯19番(伊藤保君)ありがとうございました。  地方主権についてのいろいろな議論をしてまいりましたけれども、なぜこのような議論をしたかといいますと、地域主権の実施主体者は市町村でありますし、国と地方の協議の場に代表で出るのは地方六団体のうちの、要するに市町村が4団体を占めるのですよ。確かに代表が国と協議、議論をするかもしれませんけれども、まさにその地方で、鳥取県の市町村の意識がしっかりしないと国に届かないわけです。そういう意味も含めて、私は今の現状では非常に不安が大きくてとても心配ということで知事と議論をさせていただきました。  知事も議論の中で話がありましたけれども、私の要望としては県で取り組まれている地域主権研究会のようなものが県の呼びかけで市町村と共同で開催できないものかと思います。そうした機関ができれば、将来的に市町村が共同で行う事業とか、県が補完すべき事業とかもっと具体的に前向きな議論が進んで、まさに地域主権時代に向けた地域づくりができるものと私は思いますけれども、知事の所見をお伺いしたいと思います。  最後になりましたけれども、昨年の暮れに政権交代したことにより、「山陰道遠のく」「20年代開通絶望」等、マスコミの皆さんにはまことしやかに掲載されました。まさに今議会のある代表質問で山陰道の予算確保の見通しが立ったのにもかかわらず厳しい非難がありました。とても残念な気持ちでいっぱいでした。私たちは初めて経験する責任政党としての立場の中、前政権を支えてこられた皆さんと同じように地域の課題としてとらえ、新政権の新しいルールに従い、国交大臣を含め政務三役に、今日まで山陰道の完成がおくれてきたことによる地域経済への影響、そのためにミッシングリンクの解消等をあらゆるツールを活用しながら鳥取県としての思いを伝え、きょうを迎えています。私たちは鳥取県としての熱意と思いが政府・与党の皆さんに一定の理解がされたものと思っています。しかし、私たちは最終的な箇所づけが発表されるまでは気を抜くことなく、その対応を見守っていきたいと思っております。  私は、地域主権の時代にあって、鳥取県の課題として共有できるものについては政党の枠を超え、地方の課題、地方議会の課題としてとらえ、ともに地方発展のためにでき得る連携は最大限密にしながら、これからも気を引き締めて邁進したいと考えておりますことを申し上げ、一般質問を終わりたいと思います。(拍手) ◯議長(小谷茂君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)まず、地域主権につきましては、おっしゃるように市町村が恐らく主役にならざるを得ないことだと思いますので、市町村の意識をもっと高く持っていただく必要があると思います。その意味で、これからも市町村とのコミュニケーションを密にして、私は鳥取県の場合は、鳥取県自身も小さな団体でありまして、市町村の距離感も近いところでありますから、市町村と一緒になって地域の課題を解決していけるのではないかと思います。現在、4つの地域ごとに市町村と共同しまして事務の共同化だとか、そうした課題を話し合うようになりました。この具体的な成果として、まず日野郡から先行しまして福祉関係でありますとか、あるいは事務用品等の発注とか共同化していくことを始めようとしております。こうした取り組みをさらに地域主権の議論と並行して強化をしていったり、今おっしゃったように、地域主権についてまさに語り合う場という性格も持たせながらやってはどうかと私も思いますので、そういうようにして市町村とパートナーとしてやっていくような地域主権議論の推進を図ってまいりたいと思います。  また、その後コメントがありましたけれども、今回の道路整備の問題でございます。私も11月ですか、国側からまず第一次的な内々示が示されたときに仰天をしたわけであります。それでふっと頭をよぎりましたのは、山陰道など国の基幹的なネットワークをこの鳥取県で整備する最大の危機がやってきたなと正直思いました。およそ半分に減らすというような議論でございましたので、もしこういうことであれば山陰道などの道路整備はたちまちにしてとまってしまう。それは単に予算上の問題ということではなくて、国のほうが順番待ちをしてきたところに公正にその整備を進めていく、そういう責務を放棄したに等しいのではないかと義憤に近いものを感じることすらありました。その後、これを何とかしなければならないということで、民主党県連の皆さんだとか経済界のいろんな方々と、市町村もそうでありますが連携をしまして、県内一体となってこれを盛り返すように努めていったのは事実であります。その結果として36%程度、31億円の復活が認められて今日まで来たわけであります。何とか平成20年代に山陰自動車道をつないでいくそのめども立ちかけたかなというように思います。少なくともひところ完成が危ぶまれた最大の危機と言っていいような状態からは脱することができたというように考えております。  これからも、党派を超えてこうした課題は実現を目指して我々はやっていかなければならないと思っています。これは地域全体の課題でありますので、私も皆様とともにこの成就に向けて、こうした重要課題の実現に向けては全力を挙げて邁進をしてまいりたいと思います。伊藤議員もぜひお体に気をつけて頑張っていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。 ◯議長(小谷茂君)33番上村忠史議員 ◯33番(上村忠史君)(登壇、拍手)通告に従いまして2点、知事並びに教育長に質問をいたします。  まず、がん医療と粒子線治療について知事にお尋ねをいたします。  50歳前後で死亡する人は、その原因は自殺とがんが多いと友人の医師から伺ったことが以前あります。確かに、年代別死因に関する厚生労働省の資料を見ましても、40代では1位ががん、2位が自殺、3位が心疾患であり、50代では1位ががん、2位が心疾患、3位が自殺となっております。40代、50代の一番働き盛りの方々の死因ががんが一番多いということで、3割から4割以上も占めているということは、これは改善しなくてはならない社会的問題であると考えます。私も、ここ5年ほどで10名ばかりががんで命を落とされまして、悲しい別れをしてまいりました。全年齢層で見ましても、がんは心疾患、脳卒中とともに我が国の死因の三大要素であり、その中で一番多いのはがんであります。  このため、我が会派自由民主党におきまして、3月4日、民間シンクタンクの日本医療政策機構の埴岡健一がん政策情報センター長をお招きし勉強会をいたしましたが、その中で埴岡先生は県の施策及び県民の方々の意識が低いということを指摘され、早期発見が何より大切だというぐあいにおっしゃっておりました。しかし、本県ではがんの検診率は全国平均よりも高いのでありますが、死亡率も全国12位と、全国平均よりも高いという現実があり、このことも勉強会で話題になったところであります。つまり、検診を受ける時期が遅いなど検診自体に問題があるのか、あるいはまた、病院が行う治療自体に問題があるのか、いずれかではないかと思います。  県では鳥取県がん対策推進計画やアクションプログラムを策定し、がん対策の推進を図ってきておられますが、知事は検診受診率も死亡率も高いという現状をどのように分析していらっしゃるのかお尋ねをします。  また、がん対策の現状に課題や問題点があるならば、どのように改善していかれるおつもりなのか、あわせて知事の御所見を伺います。  次に、教育につきまして、本県教育と道の学問についてお尋ねをいたします。  昨年の末、岬龍一郎さんが解説いたしました、福沢諭吉の「学問のすゝめ」を読みました。福沢諭吉は「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」の言葉で有名ですが、この本の中で、自立・独立自尊の精神を繰り返し繰り返し述べておられます。学問には芸と道があり、芸とは法律、医学、科学、芸術などの知識を深めるもの、「道」とは哲学、倫理、文学、歴史などの人間や人生を探求するものという記述があり、道の学問の大切さを再確認させられたところであります。  もともと、芸と道は、医とともに教育の三本柱であります。医をもって健全な身体を育成し、道をもって健全な精神を育成し、芸をもって社会貢献する人間を育成することが真の教育であると考えます。そうした意味におきまして、中永教育長が日ごろから訴えておられます、知・徳・体のバランスのとれた教育というものは、私も非常に高く評価させていただくところであります。  さきの大戦の前までは、政府が国と家族、個を直接結合し、国が公に芸すなわち知と、道すなわち徳を説いてまいりました。しかし戦後は、国と個の分離が進み、道が公に説かれなくなり、学校で芸だけが説かれる結果、他人に迷惑をかけなければ何をしても個人の自由だといった道を外した大人や子供がふえているように思います。このため、今こそ人間や人生を探求する道の学問が大切であり、本県としても重点的に取り組んでいかなければならない分野であると考えますが、中永教育長の御所見を伺いまして、壇上での質問を終わります。 ◯議長(小谷茂君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)上村議員の一般質問にお答え申し上げます。  私のほうにはがん医療についてのお尋ねをいただきました。まず第1点目として、鳥取県でがん対策を推進しているけれども、検診受診率も死亡率も高いという現状をどういうふうに分析をしているのかというお尋ねをいただきまして、さらに課題、問題点があるならばどういうように改善していくべきなのかというお尋ねをいただきました。  先日、埴岡先生が会派のほうの勉強会の後に藤井会長と御一緒に私のほうにも来ていただきまして、意見交換もさせていただきました。正直な話を申し上げれば、このがん対策については、今我々はまずは分析をしっかりやることと、それから対策をきちんともう一度立てるべきではないかと思います。  今まで我々のほうでもいろんな対策をとってきました。これは私がこの県政を担当させていただく以前からずっと連綿としてやってきていることでありますけれども、例えば医療体制の整備でありますとか、検診率を上げようということなどをやってきたわけであります。事実として検診率でいけば全国平均を上回る検診率であることは事実であります。またがんの発見率も全国平均よりも高いということになります。さらに、鳥取大学附属病院がそのモニタリングをしているわけでありますが、5年生存率ということで見ても、全国平均と比べて極端に悪いということではなくて、項目によってはむしろ随分いいぐらいのデータになっているという状況にあります。ただ、がんで亡くなる方の率は高いということであります。結果が伴っていないのだと思います。最終的にはがんにかかって亡くなられる命を助けたいというところからがん対策はスタートしているわけでありますが、肝心のところがもう一つうまくいっていないわけであります。平成14年度を除けば、あとはずっと47都道府県の40番台でうろうろしているわけです。この状況は一向に改善されていないと言わざるを得ないのではないかと私は思えるわけであります。ですから、職員の皆さんにもこういう議論をするときにいつも申し上げるのですが、一体どうしてがん対策がうまくいっていないのであろうか、現実に死亡率が高いのはどうしてなのだろうかということを問うわけであります。そうしますと、このたびは大学関係者とかいろんな方と勉強会までやられまして、ひとつ論文も書こうかというぐらいに作業をされているわけでありますが、罹患率が高いのかなとか、ある程度の推測は出てくるわけでありますが、それでも原因はまだよくわからないわけであります。ただ、幾つかはっきりしている事実はあると思います。75歳未満で調整をしたがんの死亡率は、本県は総じて言えば高い。ですから医療体制の問題なのかどこか、原因を考えなければならないと思います。  今、県のほうでやっていることは専門医を養成しようとか、専門的な治療ができる体制にしよう、放射線治療や化学療法、こういうものが随分乏しいというか不十分な状況であったわけでありますが、これは今急速に改善し始めてきています。例えば県立中央病院とかでも、そうした専門外来をつくったりするようになってきております。また緩和ケア、これもかかりつけ医も連携してやるようなことをやっていこうとかいうことを始めているわけであります。緩和ケアのところもここ数年進歩は見られているとは思います。ただ、まだまだできていない、今急いでやっているのはクリティカルパスと言われる大病院とそのほかの病院も含めて、診療所も含めてケアの対策を共有できる、そういう仕組みをつくろうではないかと、とりあえず類似のものとして脳卒中について新年度からかかろうというところまで来ましたけれども、まだがんのところまで体制ができ切っていません。こうしたことを順次やっていくことは当然であろうと思います。あと、不可思議な状況にある、今まだ解明されていない原因を究明することを専門的に行うべきではないかと私は思っています。今の状況を申し上げれば、胃がんとか大腸がん、それから肝臓がん、こうしたところで全国的に見て低いレベル、死亡率の高いレベルが本県であります。ただ、他方で子宮がんとか乳がん、これは全国的に見て非常にうまくいっているレベルにあります。死亡率が低いレベルに来ています。そこらがどうしたことで、こうしたことになっているのかということを我々のほうで探求しなければならないと思います。肝臓がんであれば、これも不思議なことでありますけれども、西日本を中心として肝臓がんの死亡率が高い県が集中しているわけであります。これは地域性がひょっとしたらあるのかなと思える節もありますけれども、ただ、それとあわせていろいろな治療法もありますし、早期発見ということもありますので、対策を十分立てる必要があるのではないかと思います。  いずれにせよ、私は県議会の皆さんでも今議論が始まっているようでありますから、こうしたがん対策について原因究明を片方でしっかりとやりながら、それで効率がいい実効性の上がる、そういう施策を計画的に立てて実行に移していくことが必要だと思います。そのためには条例をつくるとか、あるいはもう一度その基本計画なりなんなりを、そうした条例的なスキームに基づいてやりかえていくとか、そうしたことを議論してもいい時期に来始めたのではないかなと思います。今までもいろんな対策を打ってきており、この議場でもたびたび議論しておりますが、もっと結果が出るように私たちは向上を目指していかなければならない段階ではないかと考えております。 ◯議長(小谷茂君)中永教育長 ◯教育長(中永廣樹君)上村議員の御質問にお答えを申し上げます。  質問ですけれども、福沢諭吉は知識を深める芸とともに、人間や人生を探求する道の重要性を言っていると、本県でも道徳としての道の教育は重点を置くべきものと考えるけれどもどうかというお尋ねでございます。  議員が御紹介になりましたように、福沢諭吉は芸の学問ということで、法律や医学などで仕事をしていく上で非常に役に立つ、そういうふうな学問が大事だということを言っていますけれども、一方で道の学問ということで、さっきお話がありましたように、哲学とか文学など人徳を磨くという学問も重要だというようなことを言っておられます。その福沢諭吉はそれと同時に、道の学問のほうが少し忘れ去られようとしている状況にあるというふうなことを言っておられます。時代は違いますけれども、この考え方は今にも通じるものがあるというふうに私は考えているところであります。  御紹介がありました福沢諭吉ですけれども、独立自尊という言葉がよく使われます。有名な言葉ですけれども、人は本当に自立をしないといけないということを考えて、いろんなことをそのもととして主張してこられました。我々県の教育委員会も、子供たちが最終的には社会の中で自立していくということが大事ですというふうなことを申し上げております。そのためには心豊かに社会の一員としての自覚を持ちながら生きていくということが大事だというふうなことを考えて我々は取り組んでいるところであります。そういう意味で、私は知・徳・体のバランスというのが非常に大事だということをずっと申し上げているところであります。  先ほどお話ししましたように、知が大事なことはわかりますけれども、情操とか道徳心をきちんと養うという意味での徳の部分が大事だということは、私も全く同感であります。そういう意味で、これも何度も申し上げていますけれども、私は学校教育における道徳教育というのが一番核になると思っています。これは、鳥取県は非常に力を入れています。学習指導要領に基づいて、小学校や中学校や特別支援学校ですけれども、非常に先生方が教材研究をして、授業の中で一生懸命取り組んでいらっしゃると私は思っているところであります。  それから、学校の道徳教育ももちろん大事ですけれども、このもとになるものが非常に大事だと思っています。つまり子供たちが生活の中できちんと自分たちの生活を正しくしていくといいますか、規則正しい生活をきちんとするというふうなことの中で正しい考え方とか行動を身につけますので、これが道徳などのもとになるというふうに私は考えているところであります。そういう意味で、心とからだいきいきキャンペーンというのは幅の広い大事な取り組みだというふうに我々としては考えています。ただ、これだけではいけませんのでスポーツを通じたりとか、それから読書を通じたり、それからさまざまな体験活動をしながら子供たちは徳になるもとをずっと養っていくのだろうと思って、これにも取り組んでおります。  また、高等学校は授業の中で道徳の授業はありません。学校生活全般の中でそれを学びますけれども、例えば具体的にはルールやマナーをしっかり若いうちに身につけなければいけないということで、JRの皆さん方とか、たくさんの皆さん方の協力を得て年に3回ぐらい、駅や列車内でルール、マナーをきちんとみんなで守ろうという運動をしています。これは1回目、2回目ぐらいのときは全県で3,500人くらいの県民の皆さん、本当にいろんな皆さん方が協力してくださって、生徒に声をかけてマナーをきちんと守ろうというふうな、そういう取り組みをしてもらっているところであります。私はこういうふうないろんな運動がもとになって、余り手前みそに言ってはいけませんけれども、近年、子供たちの様子を見ていまして、そういう公徳心とかこういうふうなものは改善されつつあるというふうに思っていますし、子供たちの体力も近年底を打って反転して改善している方向に今動いているというふうに把握をしているところであります。こういうふうなことをしっかりこの後も市町村教育委員会、学校と一緒になって家庭や地域の皆さん方の力をしっかり得ながら、議員お話の道としての道徳教育はもちろんですけれども、知・徳・体のバランスのとれた、それぞれを思い切り伸ばしていく、そういう教育に取り組んでいきたいというふうに考えておるところであります。 ◯議長(小谷茂君)33番上村議員 ◯33番(上村忠史君)答弁をいただきました。がんについては非常にわかりにくい部分が確かにあるようでございます。知事も条例ということをおっしゃいましたが、埴岡先生も条例を島根県でつくったということで効果があったということですが、その前に、県民の意識が、患者さん周辺とかその辺が上がってきたことが一番だったと、それが条例に結びついたというぐあいにおっしゃっておりました。
     続いて追及の質問をさせていただきます。がん治療には、現在3種類ございまして、手術と放射線治療、あるいは化学療法でございます。それぞれに長所、短所があるわけでございますが、例えばがんが進行している場合には放射線治療が行われますが、放射線は波長が長くて近辺の成長細胞を傷つけたり回数が制限されたりということがあって、身体全体を弱める可能性が高いのであります。  そこで、ピンポイントでがん細胞を死滅させることができる高エネルギー加速器による治療、すなわち粒子線治療の提案をしたいと思います。  粒子線治療法とは、放射線療法の中でがんに対して粒子線を用いる治療の一つであり、がんに集中的に照射できることが特徴であります。従来のがんの放射線治療で行われますエックス線、ガンマ線、電子線は、体の表面で放射線量は最大であっても、人体内では減少していきます。これに対して、粒子線は体内に一定の深さまでしか進まず、しかもその到達点におきまして最大の効果が発揮できるのであります。そのことにより、周辺臓器等への影響をなくしながら、少量の放射能で大量の効果が期待できるのであります。  去る1月17日、茨城県東海村にある高エネルギー加速器研究機構の吉岡正和教授の「宇宙誕生の謎に挑む日本の貢献~クォークから宇宙へ」というお話を聞きました。難しそうな話で聴講の方は少ないと思っておりましたが、淀江のさなめホールがいっぱいでありました。吉岡氏は昭和21年6月に淀江町に生をうけ、京大理学部を卒業後、京大原子核研究所勤務をスタートに西ドイツ原子力研究センター、帰国後は高エネルギー物理学研究所を経て、現職であります。高エネルギー加速器建設の第一人者であり、小柴、益川、小林誠氏らのノーベル物理学賞受賞の基礎を支えてこられた人物と伺っており、日本の技術は世界一だというぐあいに自負されておりました。  そこで、現在粒子線を調整する加速器のない地方は北海道と中国地方、四国地方の3地区だけで、他の地区にはすべてあり、粒子線治療を行っているとのことでありました。鳥取県の近辺では、隣の兵庫県たつの市に兵庫県立粒子線医療センターがあり、粒子線治療を行っておられます。吉岡氏は事業仕分けで学術関係の予算を削減しないでほしいと訴えられるとともに、故郷であります鳥取大学医学部のある米子近辺に加速器を設置し、粒子線治療が可能な環境になってほしいと強く要望されておられました。また、同氏は米子市につくる場合にはおおよその事業費として130億円と試算されておりました。それとともに、がんと聞けばぜひ粒子線治療を思い出してほしいともおっしゃっておりました。莫大な経費を必要といたしますが、このことが実現しますと県民に高度なガン治療の環境を提供することができます。ぜひ関係機関と協議しながら県内への導入を検討すべきと考えますが、知事のお考えを伺います。 ◯議長(小谷茂君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)がん治療について重ねてのお尋ねをいただきました。粒子線治療につきまして、これはまだ近在にないのではないか、鳥取県近辺には中国地方になくて設置費用もかかるかもしれないけれども、関係機関と共同しながら県内の導入を目指すべきではないかというお尋ねでございます。  この粒子線治療の実情につきまして、詳細は医療政策監のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、吉岡先生の実際のお話も聞かれて大変に認識を深めていただいたこと、感謝を申し上げたいと思います。いろんな手だてを尽くして私たちはがん対策にアプローチをしていかなければならないのだと思います。その際に専門医の養成とか、それから化学療法だとかと並びまして放射線治療をどういうふうにやっていくか、放射線治療もその部位によって非常に有効になってくるわけでありますから、その有用性というのは我々高めていかなければならないと思います。  この粒子線治療についてでありますけれども、同じようないろんな放射線治療は鳥取大学でも今順次機器を整備をしてきました。このことはぜひ御認識をいただきたいと思います。かつてよりも確実に進歩してきていまして、そしてがんの治療センターを鳥取大学の中につくりましたので、カウンセリングだとか、そういったソフト面も含めて体制の充実が図られつつあると思います。現在、鳥取大学の中では定位放射線治療とか、それから強度変調放射線治療という先端医療機器を整備するに至っております。ですから、この議場でも議論がございましたけれども、多数の方向から照射をすることによりまして集中的にがんの部位に対して治療を施すという、そういう高度な機器も設置をされました。  そういう実情ではありますけれども、さらに新しい機器であります粒子線治療がいかがかということであります。これはまだ世界でも30例しか導入が進んでおりませんで、大変高価で先端性のある機器だと思います。ただ、問題は費用が非常にかかるということであります。ざっと見て100億円から150億円が1つの機器整備にかかるわけでありまして、標準的にも130億円内外というように言われるわけであります。よく高い治療機器なり診断機器として言われるPET-CTがございますけれども、このPETでも15億円強、17億円とか、15億円を上回るようなことでありますから、その10倍のオーダーでかかります。ですから、ではそれだけお金をこの放射線治療の器具に当ててしまっていいのだろうかと、それであったらむしろもっと人材育成とか、ほかのやるべきことがあるのではないかという議論もあろうかと思います。私は先ほど議論に上がってまいりましたけれども、ぜひこのがん対策を、この際再確立する必要があると思いますので、そういう中で大いにこういう高額医療機器の導入などの可能性も含めた議論はしていいと思います。今国内でも導入しているところの状況を後で医療政策監からもお話があると思いますが、例えば電力事業者が丸抱えでやるに近いような導入をしているとか、それから国が全面的にやっているとか、そういうところがかなりございまして、やはりどこも財源面では苦労をしているだろうと思います。  あと治療面でありますけれども、保険が今適用されない状況にありますので、1回こういう治療を受けることで大体300万円ぐらい受診料でお金がかかることになると言われています。ですから、高額な治療代がかかるわけでありますから、それだけの人を山陰といいますか、鳥取県内で集めてやれるだけのものになるのであろうか、100数十億円と言われるようなその費用を償還できるのであろうかというのはよく分析も必要ではないかと思います。現実問題は県内でもこれを活用している例はあります。鳥取県市内の病院で紹介をしまして、兵庫県の特に播磨地域なのですけれどもそちらのほうに設置をしているものでありますから、そちらを紹介して治療を受けているという例はあります。ただこうした粒子線治療はいろいろと効果も高いところがありますので、全面的に否定すべきものではなくて、むしろそれをどうやって利用できるような体制を広域的に考えていくかとか、それから今、既に設置をされたところでの治療などを活用させていただいて促進するような、そういうネットワークを県内でもつくっていくかとか、いろんな課題があるのではないかと思います。いずれにせよ非常に先端的な医療でありますし、示唆に富んだ御提案でありますので、これからがん対策を議論する中でこうした問題も含めた検討が必要ではないかと思います。 ◯議長(小谷茂君)藤井医療政策監 ◯医療政策監(藤井秀樹君)粒子線治療につきましての補足の答弁を申し上げたいと思います。  粒子線治療は放射線療法の一つでありまして、頭頸部がんや悪性黒色腫などに有効とされておりますが、すべてのがんを治癒させるような万能の治療ではございません。しかしながら、従来のガンマ線等を使った治療に比べ、放射線をがん病巣に集中させることができ、周囲の臓器への影響を減らし、十分な量の照射が可能となる治療でありまして、県内のがん患者さんが身近でこういうことを受けられるということは理想的なことであるというふうには考えております。  しかしながら、先ほど知事も答弁申し上げましたように、その整備に当たっては130億円から150億円とも言われる大きな費用がかかりますとともに最先端の治療でありまして、専門的な医師や技術者の確保が非常に難しい状況にもございます。  現在全国では、先ほど議員から御指摘のございました兵庫県の粒子線医療センターを含め7カ所に整備をされております。千葉県にございます放射線医学総合研究所など、国が施策として整備をしているもののほか、電力関係等々の関連で整備されているところ等がございます。世界的に見ますとまだ30カ所しか整備されていない状況でございまして、日本は粒子線治療において最先端という状況でございます。また、治療自体が先進医療として保険診療との併用は認められておりますが、治療そのものが保険適用とはなっておりませんで、治療に当たっては約300万円もの患者負担が必要な状況であり、これも大きな課題であるというふうに認識をしております。 ◯議長(小谷茂君)33番上村議員 ◯33番(上村忠史君)わかりました。私も治療費のことは調べていなくて、大変失礼しましたけれど、そうは申しましても、今鹿児島県で進めているようでありますし、それから神奈川県でも新しくつくるというようなニュースも聞いております。たつの市の粒子線医療センターで治療を受けた方は、大変体に対する影響がなくて、膀胱がんでありましたが、それまでどおり仕事ができるということの手記も読ませていただきました。  私も鳥取県単独で130億円とか150億円とかいうようなことは難しい問題であろうかと思います。実は3~4年前に島根県でも有識者会議がございまして、そのときにも粒子線治療ということが出てきました。金属加工とかいろんな応用もあるようでありますけれども、究極の目的はがん治療だということで、やはり投資金額ということがネックになりまして保留になったようであります。ただ、鳥取県単独ということではなくて、国の制度とかいろんなこともあろうかと思いますし、島根県と協調してそういったことができないかというぐあいなことも考えますが、この点についてお尋ねをいたします。  また、教育長につきましては、大変頑張っておられるということはよくわかりました。県民を巻き込んで道徳教育に力を入れてこられたということであります。今、自民党の谷垣総裁は自助、共助、公助ということを言っております。そしてあわせてその3点ときずなということを一生懸命に言っておられます。鳥取県教育委員会におかれましても道、道徳の教育についてぜひ今後も取り組んでいただきたいと思います。  さて、去る2月7日、中永教育長がおやめになるとの新聞報道を見ました。私は中永教育長こそ知・徳・体のバランスのとれた人物であり、まだまだ教育長の職にとどまっていただき、本県教育の推進のために頑張っていただきたいと思っていただけに、報道どおり今期でおやめになるのは非常に残念であります。  振り返ってみますと、中永教育長は高等学校課指導係長として高校教育の改善に尽くされるとともに、定時制、通信制などの高校再編を果敢に計画、実行されてきました。その後、高等学校課長、教育次長を経て平成17年7月より教育長に就任されましたが、教育長になられてからは、全国学力・学習状況調査の公開を全国に先駆けて実施されるとともに、その結果を生かすために市町村と連携した子供たちの学力向上策に取りかかられました。また早寝早起き朝ごはんなど、子供たちの望ましい基本的な生活習慣を訴える、先ほども話が出ました心とからだいきいきキャンペーンを展開するとともに、高校生のあいさつ運動、学校における朝読書の奨励、スポーツの強化などにも力を入れる一方、ブラジルでの国語教育など、多方面に精力的に活躍されてこられました。さらに平成20年度には鳥取県教育振興基本計画を策定され、本県教育の指針を県民の皆さんに示されるとともに、学校現場に積極的に足を運ばれ、生徒や保護者、教員との話し合いを行われ、教育環境の改善に御尽力されたと伺っております。  先ほど申し上げましたが、知・徳・体のバランスのとれた教育はまさに私の考える理想的な教育であり、その理念が一致する中永教育長が本当におやめになるならば非常に残念であります。昨今は教育に対するニーズや課題が増大するなど、非常に厳しい環境にありながら、中永教育長におかれましては任期中、本当に鳥取県の教育のために粉骨砕身努力されるとともに、誠実に職務に当たられ、我が県の教育行政の進展に寄与されましたこと、県議会議員の一人として心から感謝を申し上げる次第であります。先ほど申し上げました道とは、人間や人生を探求するものであり、中永教育長におかれましても、本県教育の道を模索し続けられた4年間ではなかったかと拝察をいたします。  そこで、今月の任期満了までにまだ3週間ほど残っておりますが、教育長としての4年間を振り返りどのような4年間であったか、感想を伺います。  また教育は勤労、納税とともに国民の三大義務であります。国や県の未来をつくっていく非常に大事なことであります。その大切な教育行政の県のトップとして4年以上も教育長をお務めになったのでありますので、ここはぜひとも今後の鳥取県の教育に対する中永教育長の熱い思いをお聞きしたいと思います。  以上2点を伺いまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 ◯議長(小谷茂君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)がん対策について重ねてのお尋ねをいただきました。粒子線治療の有効性を説かれ、そして島根県との連携した設置なども考えられないかというお尋ねでございました。  これにつきましては先ほども申し上げたとおりでありますけれども、がん対策をこの際もう一度原因もよく究明して、何に対する対策が75歳未満の調整がん死亡率というものを引き下げる効果があるかというのを考えていかなければいけないと思います。それに沿って処方せんもいわばみんなで考えて、有効と思われる施策を効率的に執行していくことが大事であると思います。  今、御指摘いただきました粒子線治療の問題もそのうちの一つになろうかと思います。県では現在、県がん診療連携拠点病院というものを鳥取大学附属病院に設けまして、さらに二次医療圏ごとに地域がん診療連携拠点病院を形成をさせていただいております。それらが分担をしまして専門医を育成をするとか研修会をやるとか、また率先して放射線治療の機器整備を行うとかいうようなことをやっています。県の中央病院でもリニアックなどの整備などを進めてきているわけでありますが、そうしてコアとなる病院群をつくり、そしてさらにそのスキルを他の病院にも分けるような、そういう研修事業などもやる。正直申し上げて鳥取県内だけでは人材育成は無理でありますので、がんセンターとか、そうした非常に技術の高いところに研修に医者を派遣しまして、それでその技術を習得する機会を設けるとか、そういうような総合的な取り組みをやっていかなければならないと思います。特にその治療機器の問題も重要なことであることは論をまたないと思います。  今おっしゃった粒子線治療につきましては、130億円とか150億円とか非常に高いものであることは、それは事実であります。ですからその機器のこれからの製造状況とか周辺における整備状況だとかそういうものを見たり、専門人材の育成可能性なども判断しながら、今後検討していくことになろうかと思いますが、広域的に整備をしようというのは私は一つのアイデアではないかと思います。今あるたつの市の施設を広域的な活用として我々も利用しやすいように県でもやっていくことも一つの手かもしれません。また、島根県でかつて専門家が検討されたことがあるというお話でございました。私も、そうであれば島根県とも一度この問題について協議してみてもいいのかなと思います。島根県と2県だけではまだ不足するのであれば、例えば岡山県とか広島県だとか、そうした近隣の県とも連携してやっていくことも重要だろうと思います。現実のことで言えば、東北地方であれば今福島だけにあるわけでありまして、これも多分背景には原子力発電所の立地だとか、そういうことがあるのかもしれません。福井県も原子力発電所が所在しているすぐ近くのところにこの施設を持っているわけでありまして、これは国の原発の交付金で整備をしているわけであります。そういうような幸いにして整備をなされたところ、そこでは恐らく300万円の治療費でありますので、自分の県だけで全部集めることは毛頭考えていないでしょうから、そうした施設を広域的に活用することも検討されていいのだろうと思います。近隣の地域とも連携を図りながら、特に島根県は専門的な検討もされたということでありますので、島根県ともぜひ協議をさせていただきまして、今世界の先端医療として走り始めました粒子線治療を活用する可能性について、鳥取県としても考えをまとめていきたいと思います。 ◯議長(小谷茂君)中永教育長 ◯教育長(中永廣樹君)上村議員から御質問いただきました、教育長としての任期を振り返ってその感想と、今後の鳥取県教育への思いをというお尋ねでございます。  先ほど過分なお言葉をいただきました。身に余るお言葉をいただきました。非常に恐縮しております。本当にありがとうございました。  最初に教育長としての4年間の感想ということでありますけれども、私は現場にもしおりましたらちょうど60歳になりますので、定年になる年であります。ちょうどそのときに教育長を退任させていただくというようなことになりました。私は教員の生活が20年間であります。それから教育行政が通算ですけれども15年間ということでありまして、力はありませんでしたけれども、私はこうやって教育行政に携わらせていただいて、本当に教育に熱い思いを持っていらっしゃる議会の皆さん方、知事を初めとする執行部の皆さん方、教育関係者の皆さん方とたくさんの議論をさせていただいて、そして支援をいただいて務めさせていただいたということは、本当に感謝しても余りがあるというふうに私は思っています。本当にありがとうございました。  いろんなことを今思い出しますけれども、いろんな議論をさせていただいたなと思っています。これは私どもの答弁も十分でなかったりしたこともたくさんあるので反省もあるのですけれども、ただ、全国学力調査の問題ですとか少人数学級の問題ですとか専攻科の問題ですとか、いっぱい議論をさせていただいたのは、私にとってはとても大きな宝物であります。あわせて、学校にいたら多分お会いできなかったたくさんの県民の方とお会いできたということも私のとても大事な宝だというふうに思っています。  私は努力したことが幾つかありますけれども、先ほども御紹介いただきましたけれども、ちょっと簡単に申し上げますと、1つは、私はやはり教育行政を開かれたもの、透明性の高いものにしなければいけないという、この基本的な考え方を一番大事に思ってきたつもりであります。これは県政の大方針であります。そういう意味で、学校を開くために学校評価の制度を取り入れました。それから教職員の皆さん方の力を伸ばしていただいたり、開かれた教育というようなことで教職員の評価制度も取り入れさせていただいたところであります。それから人事異動などの新しい制度も取り込んでくることが少しできたと思っています。あわせて教員採用システムを透明化するとか、それから給与や手当の見直しなどもかなり積極的に皆さんと一緒になってやらせていただいたというふうに思っているところであります。それから、その中でもさっき申しました学力・学習状況調査の開示ですけれども、これは、私は一番大きな思い出があります。これはさっき言いましたように、開いていくためだけではありませんで、教育はみんなのものであります。教育はみんなの力が合わさって、初めて本当の教育になると思っています。そういう意味で、結果を開示して情報を共有して、県民みんなで学校を支えてくださったり、見守ってくださったり、先生方をしっかり支えてくださったりとか、そういうふうなことができるものという思いがあって私はこれを開示しました。条例も改正させていただいて、30数件開示をいたしました。けれども、心配していました過度な競争や序列化は起こりませんでしたというふうに私は把握しております。そういう意味で、ぜひこれを生かして、これからも鳥取県の教育がいいぐあいに進んでいくように、ぜひぜひ皆さんのお力をいただきたいなというふうに思っているところが1つであります。  2つ目は、現場主義を私は大事にしたつもりであります。県立学校には全部の学校に私は必ず毎年行きました。そしてたくさんの授業を拝見いたしましたし、教職員の皆さん方とできるだけ話をするようにしました。学校だけではなくて教育機関にも出かけていきまして、職員の皆さんとたくさんの話をさせていただきました。私はそれは行政にしっかり還元させていただいたというふうに思っています。先般は倉吉農業高校の生徒たち70人ぐらいと、夜でしたけれども御飯を食べた後、教育問題についていろんなことを話をしました。子供たちの思いもいろんな深い思いがあって、それを受けとめることが少しは自分としてはできているのかなというふうに思っているところであります。そういうところがありました。あとほかに、学力はまだまだこれから伸ばさなければなりませんけれども、基礎をつくるための生活をきちんとすることを努力しましたし、それから読書とか道徳の充実も私なりに努力をしてきたつもりであります。  今後の鳥取県の教育に対する思いというのが2点目ですけれども、これは総論的なことになりますけれども、教育も子育ても、私はとても時間がかかるものだというふうに思っています。手を抜いてはいけない、一つずつ丁寧に丁寧に時間をかけてやるのが子育てであり、教育だというふうに思っています。効率だけを目指して、あるいは大人の都合だけでやっていっては絶対いけないというふうに私は基本的に思っているところであります。そういう意味で、ぜひ鳥取県の教育がうまくいきまして、坂本龍馬ではないですけれども、明治の人たちのように志の高い人たちが国や地域をしっかり支えていくような、そういうふうな教育がぜひできるように鳥取県の教育が進んでいったらいいなというふうに思っています。  もう一つ、私は教員でしたので、教員の側のことも考えます。割と学校を守ったような感じに受け取られるところがあったかもしれないなと思って反省はしているのですけれども、教育は人なりというふうに申します。教育はどんなにハード的な整備をしても、最後は中で教育を行う人の力にまつところが極めて大きいと思っています。そういう意味で、教育は人なりと思っています。ぜひ先生方は資質を高めていただいて、鳥取県の子供たちをしっかり伸ばしていくような、そういうふうな力をぜひぜひつけていただきたいと思いますし、我々も努力していかなければいけないというふうに思っています。あわせて先生方も、この間、浜田議員さんの御質問の答弁で申し上げましたこととちょっと重なりますけれども、学校ではいろんな問題がありますけれども、ぜひ先生方は矜持を持って、信念を持って、元気に教育をやっていただきたいなというふうに思っているところであります。子供は大きな力を持っていますから、必ずいい教育がなされれば物すごく大きな力を子供たちは発揮してくれるというふうに思っています。ぜひ県民みんなで子供たちをしっかり手をかけながら、時間をかけながら大事に、しかし時には遠慮もしないで、譲り過ぎないで、心配もし過ぎないようにダイナミックな教育がなされることを私はこれからの教育に対する思いとして持っておりますので、ちょっと何か偉そうなことを申しましたけれども、申し上げさせていただきました。どうもありがとうございます。 ◯議長(小谷茂君)暫時休憩いたします。  午後の本会議は、午後1時より再開いたします。        午前11時47分休憩    ────────────────        午後1時00分再開 ◯副議長(斉木正一君)再開いたします。  引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  9番福本竜平議員 ◯9番(福本竜平君)(登壇、拍手)県議会自由民主党の福本竜平です。外国人地方参政権問題について、さらさらと質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  民主党政権の誕生により、外国人地方参政権問題がにわかにクローズアップされてきました。民主党小沢幹事長は、昨年韓国を訪問した際のソウル市内での講演で、永住外国人に地方参政権を付与する法案について、本年の通常国会での成立の見通しを示したそうであります。民主党は結党時の政策として外国人地方参政権の付与を掲げ、政策集INDEXにも取り上げていますが、さきの衆議院選挙のマニフェストからはその項目を見ることはできませんでした。なぜこのような国論を二分する問題をマニフェストに盛り込まなかったのか、そこには保守票の離散を危惧したための選挙対策への腐心がうかがわれます。民主党が政権党としての自覚を持つならば、来るこの夏の参議院選挙で堂々と党のマニフェストとしてこの問題の是非を国民に問うべきと考えます。ちなみに、我が自由民主党におきましては、先ごろ開催された党大会において、拙速な定住外国人への地方参政権付与法案の提出に断固反対する基本方針をあらわしたことを、この場をおかりして県民の皆様にお知らせいたします。  さて、平井知事におかれましては、本年1月の定例会見で外国人地方参政権の是非を問う記者の質問に対し理解できると発言され、外国人への地方参政権の付与に肯定的な見解を示されました。会見でも述べておられますが、その背景には、本県においてはこの議場で、平成6年に国に提出された定住外国人の地方参政権の確立を求める意見書が根底にあり、以来、本県としては外国人地方参政権付与に肯定的なスタンスをとっているとするこの問題への県知事としてのその基本姿勢の根拠には一定の理解はできるところであります。しかし、平成6年当時、この問題への憲法学説の多くが禁止説をとる中、国や地方での十分な政策議論や憲法上の法律解釈の検討がなされぬまま、本議場においてもいわば軽々に参政権付与を求める意見書が提出された感は否めず、当時のこの問題の本質性の国民、県民の十分な理解と、それを導く議論の不在には大きな失望を抱くとともに、政策上も大いなる疑義を覚えざるを得ません。また、昨年の政権交代以降、全国14の県議会で永住外国人の地方参政権法制化に反対する意見書は可決されており、さらにそのうちの7県は、かつて賛成の意見書を可決している県議会であること、また本日現在さらに全国18の県議会で反対もしくは慎重を求める意見書の可決を準備する動きがあることは、地方議会が冷静さを取り戻す中で世間も当時の意見書と反対の世論に傾いているあかしであり、このことからも15年も前の意見書に呪縛され続けることは、現在の国民、県民世論の状況にかんがみてもいかがなものかと思われます。いずれにしても、今日、再び外国人地方参政権問題がクローズアップされた機会に、この問題の本質を県民の皆様に明らかにする中で政策上の是非を問い、正しい法律解釈に基づく憲法議論をなす必要を強く感じる次第であります。  そこで、知事におかれましては、そもそも政策論的に外国人に地方参政権を与えることにつき、鳥取県知事としていかなるお考えをお持ちかお聞かせください。  また、平成7年2月の最高裁判決以来、憲法学説的にはそれまでこの問題における通説であった禁止説から、部分的許容設を通説とする学説が浮揚してきましたが、知事は憲法論的に外国人に地方参政権を付与することへの法解釈をどのようにとらえておられるのか、鳥取県知事としてのお考えを県民にお示しください。  なお、平成7年2月の判例が示すように、この問題は基本的に国の立法政策上の問題ではありますが、去る1月21日全国議長会においても地方の重大な問題であることから、地方の意見を十分に尊重するように政府に求めたことからも、地方の県知事としてもこの問題への基本的立場を県民に明らかにする必要があるとの考えから、あえてここに質問いたしますことをお断りいたします。とりあえず以上。 ◯副議長(斉木正一君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福本議員の御質問にお答え申し上げます。  福本議員から外国人地方参政権の問題につきましてるる御説明があり、御質問をいただいたところであります。今、この議論が非常に集中的に起こるようになっているわけでありますけれども、このことにつきまして小職、私のほうから記者会見の場において発言したことについて、県の姿勢を明らかにする立場から政策論的な考えを示すべきだと、また、憲法学的にどういうような状況なのか考え方を問うというお話をいただきました。  この外国人地方参政権問題でありますけれども、これについてはこの議場で幾度となく議論がなされ、議決がなされてきました。その経緯だけをざっと申し上げれば、平成6年に地方参政権を外国人に付与することにつきまして推進の決議がなされています。これは全国的にも早いタイミングで当時の議員の皆様が議決をされたと伺っています。その後、平成10年、平成11年と、そうした推進の決議をもう一度見直そうという、そういう意見書等が出されていますが、これは否決をされております。さらに平成15年にはもう一度推進をするという確認の請願、陳情がございまして、趣旨採択ということになってきました。その後、議論は随分移り変わってきております。なかんずく政権交代もありまして、この外国人地方参政権問題をどういうように国全体として考えるか、今まさに議論の俎上に上ってきたと言っていいと思います。  いろいろと問題状況も区々に分かれているわけでありますが、議員のほうからぜひ議論を整理をして、この場で議論をすべきだということで御質問いただいたものだと思いました。私はそうして多くの場でこの問題を議論することは大いに結構だと思いますし、できればこの地方議会の場だけではなくて、国全体で国民の皆様にも関心を持っていただいて結論を考える、そういうことは当然あっていいと思います。  このことにつきまして、私が記者会見で発言したことをとらえての御質問がまず第1点あったわけでありますけれども、記者会見の言葉をもう一度確かめていただければよろしいかと思いますが、これは一義的に立法裁量の問題であると、立法政策によって国会が考えるべき国の基本にかかわる問題であるので、よく議論してほしいというのが最終的な私の物言いの考え方でございました。これは確かめていただければ結構かと思います。それに向けて当県の状況を若干御説明申し上げたりいたしたわけであります。私なりに政策論的なこと、憲法論的なことを私の理解の範囲内で申し上げれば、憲法の各条文にかかわるところであります。当然ながら基本的人権は国内に住んでおられる方すべてにかかわるものであります。日本国籍を持っている人以外の方にも基本的人権は及ぶというのが最高裁の大法廷の確立した判例であります。ただ、その最高裁の判例の中でもそれについては日本国民に限定されるものと、保障は日本国民以外にも基本的に及ぶものと、それはそれぞれの自由権なり人権に則して考えるべき課題であると、こういうように整理をされているわけであります。  今回の議論の発端となりましたのは、平成7年2月28日の最高裁の判決があったわけであります。そこで出てきた判決が非常にメッセージ性の強いものでありまして、これをどういうふうに考えるか、これに対してどういうふうに対応するかということが国全体で求められることになったのだろうと思うのです。そもそもこの判決の中でも触れられていますけれども、通説的な理解を申し上げれば、憲法の中にはまず前文で、主権は日本国民に存するということがはっきり書いてあります。また前文には法律的な効果はないかもしれませんけれども、あわせて憲法の第1条で天皇の象徴としての地位につきまして、主権の存する国民の総意に基づくものだと、こういうふうに言っているわけであります。主権の存する国民と言っておりまして、国民主権をもこの条文は規定したものだと一般的には理解をされているわけであります。さらに、憲法第15条の中に公務員の選定罷免権というものが記されています。この選定罷免権は日本国民が持つ権利として、公務員の選定、罷免を行うことができるというふうに規定をいたしております。さらに憲法の43条におきまして、衆議院、参議院の両議院の議員につきまして、これは日本国民を代表する両議院議員だというように書いてありまして、日本国民を代表するという言葉が使ってあります。さらにその選出方法につきましては法律で規定するというように書いてあります。国会議員のところは明らかに条文上も多分だれが読んでも日本国民が選挙をすると。それを代表するのが両議院の議員であるというように読めるわけでありまして、これはその背景にあります国のあり方を左右する方針を決定をする法律を定め、予算を定め、あるいは条約を批准、承認するという、そういう国会のステータス、これは国権の最高機関でありますので、これに対して国民は直接選挙をするということは主権在民、国民主権の原理からしても当然のことだというように理解をされているわけであります。  これとまた分かれたところで条文上第8章が規定され、地方自治が戦後、鮮明に記述されるに至ったわけであります。その92条におきましては、地方自治の本旨にのっとり地方制度につきましては法律で定めるというようになっています。法律で定める中で地方自治の制度というものはでき上がるということが規定をされているわけであります。さらに憲法の第93条におきまして、この規定では住民が代表である首長だとか議員を選挙をするというふうに書いてあります。ここに住民という表現が登場するのです。この第8章の地方自治の章では地域における特別投票も含めて住民という言葉を使っています。この辺が憲法の字面の上でははっきりしないところだというところがあったわけであります。それで、平成7年の最高裁の判決でございますけれども、この判決の中で登場いたしましたのは、まず主権在民、国民主権ということから考え、また憲法の15条ということから考えて、憲法93条における住民というのは、日本国籍を持った日本国民である住民に対して保障が及ぶものであるというように解釈をしております。これはそれまでの通説的な学説上も言われていたような理解と変わるものではないわけであります。  ただ、その判決の次に傍論として書かれおりますのは、永住権を持っているなど、その地域と密接なかかわりを持つ人、特に密接なかかわりを持つ人についてその選挙にかかわっていく、代表を選ぶ選挙にかかわっていくことを法律上規定したとしても、それは違憲とは言えないと、立法裁量であると、これは専ら国の立法政策に基づくものであると。今の状態についてはそれが規定されていないからといって違憲とは言えないと。これは立法政策なので、その立法政策に基づいて規定を置いていないことについては違憲とは言えないと、こういうよう判示をしているわけであります。  この後、非常にこの外国人の地方参政権問題、議論が強まります。そして国全体でも、例えば当時の連立与党などで政策合意がなされるとか、さまざまな動きが出てくるようになりました。ただ、今日に至るまで、このことは立法化されていないというのが現状だということであります。  この問題を考える上では、まずはその憲法論が当然あります。その憲法論の背景にある国家像というものの考え方が当然ながら大きな問題としてあると思います。憲法は主権在民を言っているわけでありますから、基本的には国の政治を決めるのは日本国民が行うというのは当然のことであります。さらにその権力に由来をするとされています地方自治政府であります自治体においても、そうしたことは基本線としては妥当するということだと思います。  ただ、この平成7年の判決で大変な衝撃を与えましたのは、それまでとは違ったメッセージを出したからであります。その新しい考え方というのは、特に地域と密接な関係を持つに至った永住権等を持つ人たち、こういう人たちについては地方参政権を認める立法行為が許容されるということを憲法の解釈として述べたことであります。これは今までの考え方に加えて全く違った領域を出したことで、ある意味時代を画するものだったと思います。正直に素直に考えてみれば、例えば町内会を考えていただければいいかと思います。町内会を成り立たせるために町内会費を住んでいる人からもらいます。それは恐らく国籍のいかんを問わず町内会費を集める。その町内会費を集めて、それをではどういうふうに使っていろいろみんなで地元のこと、いろんなことをやっていこうかということを決める、そういう場において議論に参加していただくのは当然ながら会費を払った町内会の人間であるということだろうと思うのです。  こういうようなことのアナロジーとして、地方参政権については国政の決定云々とは切り離して語り得る余地は理論的にはあり得るのであろうと思います。現実問題、世界を見渡してみますと、例えばEUの国においてはEUの領域内で相互に地方参政権を認め合うということは結構幅広く行われているところであります。また、韓国においても地方参政権を認めるそういう法制がなされていたりします。  こういうように、世界は少しずつ変わってきております。結局コスモポリタンといいますか、国同士の国境線がとれてきているという社会的な実情もありまして、こういう外国人の皆さんが特に地方レベルで政治に参加することについては、最高裁が平成7年の判決で言いましたように、それまでは当然否定されても当たり前だと思われたことでありますけれども、立法政策の範囲内だというように解釈をされるに至ったことは重く受けとめなければならないのだと思います。  この問題は以上のような背景や理論的なアプローチがあるのだと思いますが、私はこの解決自体は、幅広い国民の議論のコンセンサスの上になされなければならないことだろうと思います。その幅広いコンセンサスを得る議論をこの日本という国の中でも当然ながらやるべきだと思います。その意味で、大いに議論をしていただければよろしいかなと思います。本議会でもそういう問題意識から、古くからこの地方参政権問題に対してメッセージを全国に発する決議を行ってきたのだと理解をいたしております。 ◯副議長(斉木正一君)9番福本議員 ◯9番(福本竜平君)御答弁ありがとうございます。追及質問に入ります前に、先ほど来ございました、本県でも平成6年に意見書が採択されております。このことを踏まえまして私なりに整理をしたく思います。  まず、平成6年以降、全国の地方議会で外国人参政権付与を求める意見書が確かに多数可決されております。これがどうも平成10年代の初頭ぐらいまであったでしょうか。ちょっと私なりに、その当時の時代背景等を考えてみました。まず平成5年に自民党が戦後初めて下野します、野党に転落いたしました。そして自民党が自社さ連立政権というものを平成6年に組むわけですが、どうしてもやはりこのときに与党復帰を図る余り、理念の異なる旧社会党と連立を組んでしまった、こういったことも一つに上げられると思います。そして平成10年にはいわゆる自自公連立、先ほどちょっと知事も申しておられましたが、自自公連立です。このときに旧自由党は今の小沢幹事長ですが、小沢幹事長の強引な導きがあったとはいえ、永住外国人の参政権付与の連立合意を行ってしまったという、こういうところを我々は今の自民党としてこの過ちを深く反省するものであります。  確かに平成6年に可決されておりますが、以上のような整理をつけた上で、自民党の私としては深い反省のもとに質問をさせていただきます。なお、現政権もそうでありますが、時の自民党政権も、理念の異なる政党と政権欲しさのために国を運営するといかに誤った方向に行くか、他山の石としたいと思っております。  まず、外国人参政権の問題に入らせていただきますが、これはそもそも国政参政権なのか地方参政権なのか、そして選挙権なのか被選挙権なのか、地方参政権のうちでも首長選挙も認めるのか議員の選挙だけにするのかという議論があろうと思います。そして憲法論のほうですが、これは大きく禁止説、許容説、要請説とありますが、要請説におかれては、アラン争訟で既に要請説は否定されておるわけですから、この場では議論しようとは思いません。治者と被治者の受動性ですとか、自然権に含まれるとか、国民概念を広くとらえるとか、それぞれに反証はできますが、この場では差し控えたいと思います。  問題をめぐる憲法上の議論ですが、平成7年の判決をどう解釈するかという点に帰結するのだと思います。この判決の解釈の前に、この判決それ自体へのさまざまな疑問が投げかけられております。要するに、先ほど知事も申されましたが、これが出るまでは学説上も判例上も国政参政権、地方参政権、また選挙権、被選挙権を問わず、いわゆる全面的な禁止説が通説でありました。ところが平成7年のこの判決は、当時の一般的な学説を覆す異例の判断を下したわけです。選挙権が国民主権原理に基づいて、権利の性質上、日本国民のみを対象とし、外国人は及ばないと言いました。地方自治について定める憲法93条2項の住民とは日本国民を意味し、我が国に在留する外国人に対し、地方公共団体の長、そしてその議会の議員等の選挙の権利を保障したということはできないとする一方で、我が国に在留する外国人のうちでも永住者であって、その居住する地方公共団体と特段に密接な関係を持つに至ったと見られる者については、法律をもって地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されていないと、いわゆる国政への参政権は禁止しつつも、地方参政権については特別な永住者に限っては立法措置を講じて参政権を与えても違憲ではないとする部分的許容説にのっとった判例でありました。  この判決以降、憲法学説の通説は一気に部分的許容説に流れますが、この点、この部分的許容説を日本に紹介された中央大学の長尾教授からは以下のような指摘がされております。この地方選挙についての学説の急激な変化に対し、80年代において疑う余地のない自明の理とされていた旧説、禁止説による正面からの理論的抵抗はほとんどなかった。この通説変更の際における論争の不在は特異な現象と見る必要がある、この特異な短期間での学説の一変に警鐘を鳴らしておられます。さらにイザヤ・ベンダサンは日本の思想風土を隣り百姓であると。要するに何でも一斉にやるのが特徴だとしております。これは要するに当時EUの加盟で、ヨーロッパでどんどんこの地方参政権の法律が付与されていったと、これに横並びに我が国も並んだということを言っておられます。学説判例のあり方も、この横並び一線主義は歓迎すべきではないと考えます。  また、同じく地方参政権を部分的許容説で認めるドイツとの比較において、長尾先生は次のように分析されておられます。ドイツにおいて許容説が登場したのは、移民化した外国人を政治的に統合する必要が生じたこと、国家統合を目指すECにおいて地方選挙権の相互保障の動きが高まったことに伴うものであって、必ずしも理論的必然性によるものではなかったと。いずれにしても、ドイツにおいても憲法改正の後にEU市民に地方参政権を保障したにすぎず、その他の一般外国人には今なお禁止説が支配的だと。国民主権を基本原理とする日本でも理論上大差ないにもかかわらず、我が国では論争不在で学説が変動したことは問題であると。  さらに、この判決の疑問として次のことも挙げておられます。最高裁は議員選挙、そして首長の選挙双方に、特に傍論を付してまで許容説の立場を示す必要があったのか疑問だと。第1に、外国人の地方選挙をめぐり、学説状況がまだ流動的であった当時、許容説においても議員選挙はともかく、首長選挙については支持する者は少数であった。第2に、外国人の参政権問題は重大な政治的問題であり、各党はそれぞれの計算や思惑を秘めてこの問題に対応しているにもかかわらず、この最高裁の傍論は微妙な政治状態に決定的な影響を与えてしまった。要するにこの判決には司法機関としての限度を超えるものがあったのではなかろうかと述べておられます。私も実は東京で禁止説の日本大学法学部の百地先生にこの点を伺いました。そうしたら百地先生も、最高裁も時には誤るのですとおっしゃいました。非常に印象的でした。  いずれにしても、この判決が出されて以来、部分的許容説が現在の通説とされていることは疑いがありません。よって具体的に、ではこの平成7年の判決の解釈について議論したいと思います。  判決では国民主権の原理から外国人参政権は保障されたものではないが、居住する地域の地方公共団体と特段に密接な関係を持つに至った永住者に立法措置して地方参政権を与えることは憲法上禁止されたものではないとしております。では、この判決から本当に直接的に永住外国人への地方参政権付与が果たして導き出せるのでしょうか。まず、この判決は本論と傍論で矛盾が隠せないという議論もあります。また、仮に矛盾がないとしても立法政策上、特段に密接な関係を持つに至った永住外国人に地方参政権を付与しても構わないというその論拠が判決の中で示されておりません。そのために、地方参政権付与の説得力に著しく欠けることは否めない事実であると考えます。  次に、この判決にかかわった園部元判事によるこの判決の法令解釈、これは自治体法務研究2007年の夏号からの引用で解釈を試みたいと思います。この判決は3つに分けて、第1が、憲法93条が在留外国人に選挙権を保障したものではないこと。第2は、永住者の中でも特に居住する地域の区域の地方公共団体と密接な関係を持つに至った者に対して選挙権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されていないが、それは国の立法措置政策にかかわる事項で、措置を講じないからといって違憲ではないとしている。第3に、選挙権を日本国民たる住民に限るとした地方自治法公職選挙法は違憲ではないとしているところというこの3つに分けております。その上で、ここが重要です。判例は第3の部分であり、第1、第2は判例の先例法理を導くための理由づけにすぎず、先例法理ではない。また、第1を先例法理としたり、第2を傍論、または少数意見としたり、あるいは第2を重視したりするのは主観的な批評にすぎず、判例の評価という点では法の世界から離れた俗論であると記述しておられます。  このことからも、この判決の判例としての得べかりし評価は選挙権を日本国民たる住民に限るとした部分のみであり、永住外国人への地方参政権付与の根拠とされる第2の部分は傍論でも少数の意見でもないとともに、この部分を重視することは判例の評価からは何ら意味がないことが示されていることになります。よって、この判例から直接的に外国人地方参政権付与の根拠を導くことは無理があると考えますが、知事の所見を問います。  また、この傍論と言われる第2の部分の導入を強く求めた園部判事は、これを入れたことに関し在日韓国朝鮮人をなだめる意味があった、政治的配慮があったと明言されております。さらに地方参政権付与の対象者は在日ら非常に限られた永住者に限定したとして、特別永住者であっても転居など地域と密接な関係を失った場合は選挙権を認められないとの考えを示し、本判決が在日韓国人の状況にかんがみた特別永住者にのみ認められるものであること、仮に認められるとしても外国人の地方参政権の付与は地域との密接な関係の有無が問われるとの非常に制約的な権利許容の範囲内のものでありました。  この点、本判決にも大きな影響を与えたとされる先ほどの中央大学の長尾教授は、次のような理由を挙げてみずからの部分的許容説の誤りを認めて、禁止説へ変遷したことを反省を込めて次のように語っておられます。韓国が平成21年に在外選挙権法案を成立させ、在日韓国人の本国での選挙権が保障されたことで、立法事実の一つが崩れたことから、現実の経験的要素が法解釈に影響を与える立法事実の原則からも、特に在日韓国人の状況を根拠にして部分的許容説の法的論理性を維持することはもはや困難である。ほとほとこのように、今日的には部分的許容説は憲法学説としては支持を失い始めていると言えます。また、参政権付与は在日を想定したとする園部元判事も、当時の判決について金科玉条で一切動かせないとは考えていないと述べ、時代の変化に合わせて見直すことも可能との考えを示したと報じられました。  これらのことからも、平成7年の判決から直接的に在日韓国人等一部の特別永住者に限って永住外国人に参政権が認められると解釈することは、少なくとも判決から15年経過し、大きく変化した在日韓国人を取り巻く環境の変化に照らしても困難であると考えますが、知事の御所見を伺います。とりあえずここまで。 ◯副議長(斉木正一君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福本議員からさらに精細に外国人地方参政権につきまして、特に平成7年の判決の解釈、あるいはその後の変遷を取り上げられて、永住外国人に参政権は認めれるふうに平成7年の判決から導き出されるということは言えないのではないかというお尋ねをいただきました。  これについての問題状況ですね、今議員のほうから御指摘いただきましたいろんな分析は、ある程度妥当するものはあるのかなというように私も思うところであります。ただ、幾つか私なりにもいろいろと考えさせていただきますと、また別のアプローチもあるのかなと思うようなところもないわけではありません。今回の、平成7年の判決は、ではどういう判決だったのか、全く意味のない判決なのかどうかということであります。まず、判決の効力でありますが、これは講学上のことではありますけれども、判決の効力自体は主文の基本的な部分が判決の主たる効力を持つものであります。それに対する理由づけのところは、その判決に付随するものとして大きな効力を持ち得るものであります。これとはまた別のところで傍論として書かれるものもあります。一般にはこの傍論部分というものは判例としての先例的価値は、この主文にかかわるような論旨と比べますと薄いというように言われています。これは事実であると思います。そういう意味では、議員がおっしゃるように、今回、平成7年の判決は判例的には全く意味のないものだというような御主張があることも理解できないわけではないと思います。ただ、大切なのは、私自身もあの判決を当時読んでみてびっくりしたわけでありますが、みんながびっくりするような判決だったわけであります。まず、みんながみんな憲法を習う過程では日本国民が選挙権を持つのだと、それは主権在民という言葉の裏返しとして理解をしていました。ですから確かに93条あたりで住民の代表として、住民という言葉を使って議員や首長というようなことが記述をされていたりするわけでありますが、それも当然ながら選挙権がある人でなければいけませんので、日本国籍を有する人だというのが通説的な理解であり、常識的にはそう考えるのかなと思っていました。実はこの判決以前にも、先ほどアラン訴訟のお話がございましたけれども、数多く裁判が提起をされています。特に公職選挙法の中でも選挙人名簿の登載について争う手続がございまして、これを利用して幾つも訴訟が出されていました。ただ、その訴訟が出ても、さっきのアラン訴訟というのもそうでありますけれども、これは主権在民ということの裏返しとして日本国籍を持つ人、外国人は選挙人名簿には登載されないというように判決は繰り返されてきたわけであります。  そういう時代の流れの中で、突然平成7年のあの判決が出てきたわけであります。これはそういう意味で、それまでの通説的な理解に対して私は間違いなく警鐘を鳴らすという意味での最高裁の判決かなと思いました。これは人によって受け取り方はさまざまだったであろうと思いますが、私自身も選挙法の解釈にある程度かかわった立場でありましたので、こうやってあえて従来当たり前のように言われたことに対して違った考え方が出されたことはすごく大きな意味があるなというふうに思った次第であります。  判決をよくよく読んでみますと、単純に外国人に地方参政権を認めるとは書いていないのです。外国人の中でもと書いてありますが、外国人の中でも永住者等であって、その地域と密接なかかわりを持つに至った者に対しては選挙権を認めるという立法は違憲ではないと、こう言っているわけであります。だから、外国人の中でも特にかかわりの深い永住者の方については別の考え方をしてもいいですよ、それも地方選挙に限ってそういう考え方をしてもいいですよと最高裁の判決に書かれているわけであります。これだけ限定的に注記をして書いてあることの意味は非常に深いものがあります。  これと類似をしていますのは、よく出されます1票の重みの訴訟であります。これも皆様御案内のように数多くの訴訟が展開されますけれども、1票の重みは違憲状態になっていたと、そういうように判示されることがあります。これは最近ですと、衆議院ですと2倍以上とか、参議院でも5倍とか6倍とか7倍とか、大分大きくなってきますとそういう違憲状態というふうに判決をしたりします。そういうようなことで、最高裁は立法者に対してメッセージを投げかけるということを特に選挙法の分野では繰り返しやってきているのです。そういうメッセージを受けて、国会では1票の重みが違憲状態にあると最高裁も判決をしたのだから、我々で選挙法を直しましょうというような話を始めるわけですね。この辺は戦後の憲法実務といいますか、法律の世界で立法権と司法権とのチェック・アンド・バランスの関係が効いてきたところなのです。そういう選挙法の世界におきまして、最高裁が傍論的な記述とはいえそういうように書いているということは、これは立法者としても重く受けとめてもらわなければならないと、そういうように受け取るものだと思います。それが最近の実務上のやり方であるだろうというふうに考えているわけであります。  ですから、議員の御指摘のように法律論的にいって、これは先例的な価値が100%あるものかといえば、確かにこれは傍論的記載でありますので、そういうところではないかもしれない。ただ、特に選挙法などで繰り返されている最高裁のメッセージとして考える場合に、立法政策の問題だとまさに判決でも言っているわけでありますが、立法政策を行使する国会において速やかに検討してほしいというメッセージが通常は込められていると見られるものではないかなというように思う次第であります。 ◯副議長(斉木正一君)9番福本議員 ◯9番(福本竜平君)ありがとうございました。  では次に、外国人参政権の問題を地方自治の性質の検討から考えてみたいと思います。  地方公共団体の自治権の根拠を、国家の統治権から伝来した後国家的な実定法的権利とする伝来説に見出す場合、地方自治権は国家統治権の委任に基づく行政権の一種にすぎません。そして国会の立法権や内閣の行政権を超えることはできません。つまり、例え外国人に地方参政権を与え、それに基づいて国民主権に反するような条例ができたとしても、国の法律を改正して日本国民自身によってこれを拒絶することができることになって、その場合、国民主権原理は貫徹されると思います。よって、伝来説に立つ場合は外国人地方参政権付与は必ずしも違憲の評価を受けるものではないと私も認識しております。  ちなみに、現在我が国の地方自治権の根拠としては伝来説の中でも一切の地方自治を国家から伝来するものとし、自治の範囲を極めて狭く解釈した承認説は支持を失っております。国家の立法作用によって地方自治の本旨を損なわない程度において、地方を起立することが許されるとされる制度的保障説が今の我が国の定説であります。  では、この制度的保障説に立って地方自治権の根拠を求めるとき、外国人地方参政権の問題はどう扱われるのでしょうか。この場合、地方自治の本旨の解釈において地方自治を拡大して理解する場合と、自治の範囲を狭く解釈する場合によって同床異夢になる可能性があると思います。すなわち、地方自治の保障を拡大強化して国や内閣が介入し得ない部分がふえる場合は、国民主権原理が貫徹されないことになっている。要するに、昨今の地方分権の流れの中にあっては地方の自治権を保障拡大すればするほど外国人に地方参政権を与えることは難しくなるという、いわゆるトレード・オフの関係が成立するのではないかと思います。このように外国人に地方参政権を与えることは図らずも地方自治の拡大と相入れず、地方分権の流れと逆行することになるという側面につき、地方分権の時代を生きる知事としての御理解がどういうものかお聞かせください。とりあえずここまで。
    ◯副議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)地方分権と、この地方参政権の問題とのかかわりの中からお尋ねをいただきました。議員のお話としては、今地方分権を進めているわけでありますから、それで地方側の裁量の余地が広くなってくれば、このことは地方参政権の付与の問題にもかかわってくるのではないかと、トレードオフの関係ではないかというお話がありました。  先ほど申しましたように、もとより平成7年の最高裁判決によればこれは地方参政権の分野に限り、そしてその地域との特別な関係が認められる永住者に限定しながら言及されたものであります。その背景には何があったか私も詳細がわからないところもありますけれども、町内会のアナロジーといいますか、その類似の考え方でいえばそういう形態があってもいいのではないかと。さらに世界じゅうを見渡してみればそうしたことがふえてくるということではないかと思います。  今、その分権が語られるようになってきまして、国のほうのいろんな仕組みを地方のほうに移管をする、権限も財源もというような議論をしている真っ最中であります。当然ながら、この議論などもかかわりながらこうした参政権の問題も微妙に変化し得る要素はあろうかと思います。例えばドイツでいえばEUの市民に対する地方参政権というものを認めますけれども、州と市町村では取り扱いが異なったりということがあるわけであります。また、アメリカでも一部そうした参政権を認めている市町村はありますけれども、州レベルまでやっているところは果たしてあるかというと、そういうわけではなかったりします。ですから、こういうように考えてみますと、それは実際にどういうような権能をそれぞれのレベルの政府が持つかということとかかわって、先ほどの平成7年の判決の考え方、傍論の考え方と組み合わせて議論をすることになり得るものはあると思います。  このことでありますけれども、ただ、本来地方分権の議論と参政権の議論とは少々別の地平にあるものでありまして、国のほうの権能、例えば外交だとか防衛の権限がそのまま地方側にくれば、これはまさに国の外交や防衛のあり方を議論する場に果たして外国籍の人が入っていいのかどうかということはあり得るわけでありますが、地方レベルではどちらかというと内政のことといいますか、身の回りの行政サービスについてどうすべきかということを意思決定する範囲内のことであります。ですから、我が国の統治機構の現状からすれば、地方分権が進んで今確かに議論されています。今なされている議論からいけば地方の領域は広がるとは思いますけれども、それで直ちに平成7年の最高裁判決が念頭に置いたような地方参政権の状況まで変えるほどの内容になるかというと、それはちょっと疑問がないわけではないというのが素直なところではないかと思います。  いずれにせよ、この議論は大分世間で論駁されるようになりましたので、大いに論戦を闘わせていただきまして、国民的なコンセンサスを得るよう私としては念願をするものであります。 ◯副議長(斉木正一君)9番福本議員 ◯9番(福本竜平君)それでは、次に政策論的な議論をしたいと思います。  少子高齢化時代を迎えた我が国の出生率は平成20年の速報値で1.37です。人口維持の最低ラインとされる2.08を大きく下回っているわけですが、このままでは人口の激減は避けられません。数十年後には数千万人規模での人口減少が予想されます。一方、我が国の外国人人口は労働力不足を背景に年々増加の傾向を示しています。逆に言えば外国からの労働力としての外国人を受け入れないと社会が維持できなくなるのかもしれません。ドイツやフランスの例にも見えるように、このような労働力不足を背景とした外国人移民の増加が外国人参政権付与の契機となった例もあり、外国人参政権問題は成熟期を迎えた文明社会に共通する課題と言えるかもしれません。いずれにしても、減り続ける国民人口とふえ続ける永住外国人の背反する人口動態により、現在92万人と、全人口に占める割合は1%に満たないほどの永住外国人の比率は、今後数十%にも及ぶ可能性も否定できません。また、その場合多くの永住外国人が都市部に集中し、各地で日本国民と永住外国人の人口の逆転現象が生じるおそれもあります。現在、ともすれば外国人参政権の問題は特別永住者、すなわち在日韓国、朝鮮人等の問題ととらえる向きがありますが、現在42万人とされる韓国朝鮮籍の特別永住者は、主に日本人との結婚による帰化や通常の帰化により年間約1万人ずつ減り続けております。恐らくこのままいけば何十年か後には日本社会において今よりもっとマイノリティーな存在となっていることが想像されます。  以上のことからも、外国人参政権の問題の本質は今後ふえ続けるであろう労働人口としてのその他のアジア諸国からの外国人、とりわけ現在年間1万人ずつふえ続けている中国の永住者とその減り続ける我が国の人口減の問題であることがわかります。少子高齢化時代、肥大化して成熟した社会を日本国民のみで支えることは事実上不可能です。今後、我が国が一定度の成熟した社会の維持を行うには、労働力としての外国人の受け入れは必要不可欠であります。そのためにふえ続けるであろう外国人のうちでも、永住を希望する外国人への扱いが現在の我が国の現状のままでよいのか否か、血統主義に基づく二重国籍の是非、帰化要件の緩和による国籍取得の利便性の向上、そして他国籍永住者の参政権付与問題はさらなる議論が必要とされると考えますが、知事におかれましては、今後予想されるこのような我が国の現状にかんがみて、外国人との共生社会においてどのような理想を持ち、今後我が国がとるべき永住外国人への対応につきどうあるべきとお考えか、その所見をお聞かせください。  また、地域によってはその地域に長らく暮らす永住外国人や、とりわけ何代にもわたって長く我が国に在留し、かつ地域に深いかかわり合いを有する特別永住者のような皆さんから、地域住民としての意思を聞き取るための外国人会議のような機関を設けている自治体も見受けられますが、本県におけるこれらの機関の設置の可能性について重ねて知事の御所見を伺います。 ◯副議長(斉木正一君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)外国人の皆様との共生社会の建設につきましてのお尋ねをいただきました。議員のほうからは外国人がふえてきている、我が国全体の状況からして本県ではどういうような対応を考えるべきなのか、その理想について問うということと、それから外国人会議のような会議を設置する考えはどうかというお尋ねをいただきました。  本県におきましても非常に外国人の数はふえてきております。全国でもそうでありますが、本県の場合ですと、現在のところは4,000人を超えてきておりまして4,300人程度。15年前ぐらいと比べますと、倍ほどにふえてきているということであります。その内容を見ますと、中国の方とか、あるいはフィリピンの方とかいろんな国籍の方が来られるようになってきております。その目的も、留学などの目的もあれば研修生として働かれるような方もあったりさまざまであろうかと思います。ただ、私どもの59万人の人口に対して4,000人を超える外国人の方がおられるということの意味をもう一度考える必要があるかと思います。かなりパーセンテージはひところと比べて上がってきているのは事実だと思いますし、ボーダレス社会がさらに進んでくればもっともっと外国人の比率は上がってくるだろうと思います。  したがいまして、外国人の皆さんも同じように暮らしていける、不自由なくいろんな暮らし上の利便を享受できるようにしなければならないと思いますし、外国人の方であるからこそ問題となるようなこともあろうかと思います。  今現在、鳥取県でも国際交流財団と連携をしたり、いろんな民間の方の御協力もいただきながらさまざまな外国人向けのサービス提供をして共生社会の実現に取り組んでいるところであります。  例えば医療ですね、これも尾崎議員ですか、前に質問もございましたけれども、医療関係でのボランティアを、外国語が話せるボランティアを養成して現実に活動していただいているとか、あるいは日本語クラスを設置しまして、日本語に不自由している人がまずは日常生活ぐらいはできるようにサポートをするとか、さまざまあります。私どもはまだこういうような活動でありますけれども、さらに外国から来ている労働者の方が多いところでは、学校での外国人のパーセンテージが非常に高くなってきているとか、そういうところもふえてきていまして、学校のクラスのあり方だとか医療機関のあり方だとか、いろんなところに波及してきている現実があります。それは恐らく将来の鳥取県の姿なのだと思います。  そういう意味で、外国人の皆さんもそれぞれの暮らしをつつがなくできるような基盤となるサービス提供を私ども県政としてもぜひ取り組んでいきたいと思いますし、これは県庁だけの力でも難しいところがありますので、県民の皆様、多くの方々にも御理解をいただき、ボランティア活動だとかそうしたものも御協力をいただくようにして、そして進めていく必要があるだろうと考えております。  さらに、お尋ねのありました外国人会議のようなあり方でありますが、例えば神奈川県の川崎市におきましては、そうした外国人の方のいわばミニ議会をつくっているところもあるわけであります。神奈川県の川崎ぐらいになりますと外国人の方も実は数も多うございまして、当県とはちょっと比較にならないかもしれません。ただ、私も議員の問題意識が非常に理解できるなと思います。ですから、何らかの形で外国人の方の意見をいろんなテーマで聞く、そういう機会をつくるのは一考に値するかなと思います。例えば教育関係で外国人の方の御意見を聞くとか、それから医療や福祉サービスの提供のあり方について聞くとか、そうしたことを常設の議会のような形でなくてもできるのではないかと思いますので、そうした直接的な広聴活動が今までは不足していた面があろうかと思いますので、そうしたことをこれから検討してみたいと思います。鳥取県でも今までもいろんな御意見をいただきながら、新型インフルエンザ対策であれば御指摘をいただいて外国語対応を進めるなど、そういうふうにかじを切ってまいりました。ぜひとも議員のおっしゃる世界の国境がなくなってきた、現状にかんがみた外国人との多文化共生社会を設立できるように我々として全力を挙げてまいりたいと思います。 ◯副議長(斉木正一君)9番福本議員 ◯9番(福本竜平君)るるいろいろ議論をしてまいりましたが、要するにいろんな考え方があって、政策論的にも法律論的にもまだまだ煮詰まっていないとの思いが私はあります。ですから、今政府が提出を検討しているとする外国人地方参政権問題の法案、現時点では少なくとも出すべきではないと思いますが、知事もそう思われませんか。それを聞いてから最後の質問に入ります。  作家、猪瀬直樹氏は、日本人の国家意識が希薄になっていることが外国人参政権問題をややこしくしているとして以下のように指摘しています。普通の国家では国家は外敵から国民を保護する存在として位置づけられます。一方、日本は海に囲まれて国家意識が薄い。国民と国家の契約意識がないからその関係はファナティック、狂信的になるかゼロになるかだと。明治期は国家が消えたら植民地にされて個人の利益もなくなる時代だったから国益追求に個人が引きずられてファナティックになった。そして戦後はアメリカの庇護のもとに防衛と外交を置いたために、戦前のような個人と国家の権利関係が見えなくなって国家意識はファナティックからゼロに振れてしまった。そもそも国民に国家との安定した契約意識があったならば外国人参政権というようなおかしな話は出てこない。国家というものを意図的に意識の外に置いてきたために問題の意味すらわからなくなっている。  確かに現代の一般的な国民の国家意識は薄くて、そのために国際交流や多文化共生という概念がひとり歩きをして外国人との間合いを非常にとりにくくなっていると思います。このような日本独特の国家意識の希薄化を利用して、国際化、グローバル化の進展を根拠に外国人参政権を主張、付与する例が見られますが、私はこれは恐ろしい傾向だと思います。国際化は共生や相互理解を生む一方で、衝突や相互誤解も生み出しもすること、国際的交流が密になればなるほど国家の機能である防衛や秩序維持を強化せざるを得ない場合があることも現実です。事実、我が国で共生の理想に酔いしれる一方で、中国、台湾、韓国、北朝鮮のナショナリズムは激しさを増して日々軍事力は増大しています。平和ぼけした我々日本人は経済のボーダレス化、情報のネットワーク化が国民国家の境を超えて地球規模で広がる中で、その一方でナショナリズムに対する固着が世界的に強まっている現実を直視して、真に国民国家のための国益とは何なのかを常に自問しなければならないと思います。市民革命から近代民主主義の発展の中でその帰結として国民国家の概念が成立し、結果としてナショナリズムが高揚してきたと考えるならば、新国家主義と言われるようなものの考えは民主主義の高度な発展概念であるのかもしれません。そしてその発展を遂げた民主主義の果実として我々が得たのが国民主権であり、その国民主権の国民を規定する唯一の概念が国籍であると私は考えます。知事のお考えをお伺いして質問を終わります。ありがとうございました。 ◯副議長(斉木正一君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福本議員から重ねてのお尋ねをいただきました。  まず、現在の状況の中で法案を提出することはすべきでないと、この点についてどういうふうに考えるかということでありますが、法案を提出する以前にまず法案の中身をどうするかが問われなければならないと思います。議員もいろいろと御議論の中でございましたけれども、その選挙権の内容をですね、国政選挙、地方選挙があります。あるいは首長や議員の選挙がある。それからどういうような方を対象にするか、典型的には本当は多分特別永住者などを念頭に置いてあの判決は書かれたのかなと読めない節はないと思いますけれども、それ以外の永住者の扱いをどうするのかとか、その辺をよく話し合いながらどういうような法案であればコンセンサスが得られるのか、あるいは得られないのか、そういうことをきちんと国会の中で議論をし合うべきではないかと思います。それでコンセンサスが得られるような内容がまとめられれば、その信を問う意味で可否を決するために法案として提出をするということではないかと思います。単なる党利党略でこれは議論されるべきことではないと思います。当事者である外国人の方々のことを思えば、きちんと党派を超えて、その立場を乗り越えてどういうような姿が正しいのかよくよく議論をすることが必要ではないかと思います。そうした慎重なさまざまな議論を経て法案は提出されるものだと私は理解をしております。  次に、今国家の考え方と、それからナショナリズムにかかわるようなそういう御議論がございまして、その意味でさらに地方参政権について、国籍ということについてのお尋ねをいただいたわけであります。  長い人類の民主主義の歴史をとってみますと、いろんな闘争の中にでき上がってきたわけであります。もとはといえば国家に主権が備わったのはウェストファリア条約ぐらいから成立してきたと言われております。1648年、三十年戦争の後にそれぞれの国が主権を確立するに至る。それまでは絶対王政が主流でありましたし、ローマ・カトリック教会というものが支配をしていたわけでありますが、そういうものに対してプロテスタントのほうにも一定の権利が認められましたし、それぞれの地域の両方が自決権を持ち得るようになってきた。この辺から国家それぞれが主権を持つという、そういう仕組みに世界は移っていったと言われています。その後、1688年、1689年と名誉革命が行われてブルジョアジー革命が起こる。市民がその国民国家というものを設置するに至るわけであります。アメリカでも独立戦争の結果パリ条約が結ばれ、18世紀の末にはフランス革命が起きました。その結果として市民が自分たちの民族、一つの民族として、国民として国を運営するという制度ができ上がったわけであります。その国を動かす一つのまとまった国家の中で国民が暮らし、その国民が主権を持つ、そういう意味で国籍というものが重要な意味を持つというのが、それ以来、民主主義国家の基本でありました。この基本的な枠組みは恐らくそう簡単には壊れないと思いますし、壊すべきでないものがあると思います。  ただ、それに対する一種のモディフィケーションといいますか、修正をどこまで行うかというのが今日的課題になっているのではないかと思います。我が国の状況で言えば、第2次世界大戦が終結をした後、サンフランシスコ講和条約が結ばれました。その結果として日本国内に住んでおられた大陸の方、台湾の方が日本国籍を失うに至ったわけです。そういうことで特別永住者という方々が生じてしまった。その方々が日本国内に住み続けることについて、住民としての機能を、密接な関係を持っているのであれば、これに対して配慮すべきではないかというのが恐らくは最高裁のメッセージであったのではないかと私は読めるわけであります。こういうことに対しては一定の修正をどこまで行うかという議論は私は否定されるべきでもないだろうと思います。ただ、繰り返し申していますように、最終的にこれは立法政策の問題だと最高裁が言っているとおりでありまして、国家の基本にかかわることでありますから、国会の場で正々堂々と議論をしていただきたいと考えております。 ◯副議長(斉木正一君)16番銀杏泰利議員 ◯16番(銀杏泰利君)(登壇、拍手)それでは、初めに事業仕分けについて質問をいたします。  昨年、新政権のもとで行われた事業仕分け、その仕分けの場が完全に公開され、国民の目はくぎづけとなりました。同時に仕分け作業を見ることを通して国の事業に対して関心と理解が深まるという効果があらわれました。一方、平井政権では事業棚卸しを実施され、新年度からは事業仕分けを実施予定であります。私は徹底して歳出を見直し削減をする事業仕分けには賛成で、さらにかかわった職員の意識改革になったとの効果も報告をされ、それだけでも行う必要があると思っております。  そもそも事業仕分けは構想日本が提案し、公明党はそれを地方行政で推進してきた歴史があります。そして、2005年の衆議院選挙では公明党と民主党がそれぞれマニフェストに掲げています。公明党はその後国の予算でも行いましたが、余り注目されませんでした。今回ほど派手にショーアップしたわけではなかったからであります。私は4年前の2005年11月議会で事業仕分けを取り上げ、当時の片山知事に迫り、結果、完全に拒否され、轟沈したことを(笑声)感慨深く思い出します。片山前知事は予算というのは政治そのものだ。また、外部による点検仕分けについて政治の介入とか政治の影響力を遮断するということで、民意とも遮断される可能性が強いと答弁し反対をされておりました。それが今や行政刷新会議のメンバーとなり事業仕分けをみずから行う立場となられました。歴史の皮肉を感じるわけですが、少し考えると実はそうではないということがわかります。自分の組んだ予算ではないので政治的主観抜きで自然体で客観的に判断が下せる。さらに言えば、まだ前政権からの引き継いだ事業が多くあり、思う存分仕分けができると思っておられるのではないかと思います。  構想日本では外部の目と公開性は欠かせないように言っております。平井知事は来年度この外部の目と公開性を確保するよう答弁され、いよいよ事業棚卸しが事業仕分けに移行する条件が整います。しかし一方、このことによって政治的判断なり、政治的意図の強い事業が否定される危険が出てきます。例えばこのあと質問する小児医療費助成など、事業仕分けでは医療制度で考えるべきで本来不要と判断されるか、または特色ある住民サービス、子育て支援ということだが、市町村が主体の事業で県の支援は必要ないというふうに判断されるかもしれません。政治的判断なり意図の強い事業は対象から外しておけばいいとも考えますが、構想日本では対象事業の選定では役所内の不平等観、無用なハレーションを避ける意味でもある程度客観的な基準で選ぶことが重要と言っております。例えば一般会計とか単独事業とか5年以上継続しているとか事業規模が1,000万円以上などの共通項でくくるなどを提案をしております。かわりに出た結果については従わなくてもよいと、結果をどう受けとめるかは各自治体が自主的に判断すればいいというふうに言っておりますが、実際、一般公開をしながらその結果に従わないということは相当な覚悟と説明が必要であります。国で言えば子ども手当とか思いやり予算などを事業仕分けの対象にするということと同じであります。本県で行う事業仕分けの対象事業の選定はどうするのか、選定の前提条件などどう考えるのか、知事に所見を求めます。  また、仕分けの結果に従わない場合もあると思いますが、従わない原則などを決める必要があるのではないか、この点についても知事の所見を求めます。  次に、子育て支援と小児医療費助成について知事に質問をいたします。  昨年の6月議会でのこの件についての議論で明らかなように、知事は小児医療費助成の拡充について、1、本来国で行うべきで動向を見たい。2、国で動きがないならば市町村とじっくり協議をしたいと、そしてその結果、行うとすれば実現は平成23年度くらいが目安と示されています。  その1番目の国でありますが、その後、政権交代が起こり新政権のマニフェストで子ども手当など、社会全体で子育てを応援するという理念が示されました。日本は新生児の死亡率が世界一低い一方で、1歳から4歳の死亡率は高く、それを防ぐためにも子供の医療費を安くし、医者にかかりやすい環境を整えることが大事であります。では何歳くらいまでか。小学校低学年くらいまでは子供は病気にかかりやすく、対象としたほうがよいとおっしゃる方もいらっしゃいます。また、子育て支援として経済的負担を軽減するという意味でもっと支援の対象年齢を広げるべきだとの要望も多くあります。国においては、私ども公明党は医療費の窓口負担の軽減を今までしてきました。2008年4月から小学校入学前まで3割負担を2割負担に軽減をさせております。地方独自の小児医療費助成補助の助けとなったことと思っております。私はこうした経緯を踏まえて次のように考えています。  まず、国においては、1、子供の医療費助成制度のさらなる拡充を図るべきであります。それは現在2割の窓口負担をさらに1割にするとか、2割を小学校低学年まで広げるとか行うべきであります。2番目に、窓口負担軽減の拡充ができないならば、せめて地方が独自に行う上乗せ施策である小児医療費助成制度のような支援に対してペナルティーを科さないようにすべきであります。政府は一方で子ども手当を出すとしながら、もう一方では小児医療費助成に対して支援こそすれ、ペナルティーを科すような矛盾する施策は行うべきではない、早急に改善すべきであると考えております。  一方、地方では国からよい返事が得られなかったとしても、1、子ども手当が支給されるからといって小児医療費助成制度を縮小すべきではなく、子ども手当支給のねらいとはまた違うので医療費助成は拡充の方向で進むべきである。2、国の状況にかかわらず、現に医療費負担軽減を待ち望む県民が多くいるわけで地方としては拡充するように進むべきだ。そこで国の実際の動向はどうなのか、また、地方の鳥取県として今後どうするのか、拡充すべきであると思いますが、知事の所見をお尋ねをいたします。  最後に、県立高校での学校徴収金問題について教育長にお尋ねをいたします。  教育長との議場でのおつき合いは今議会で最後となってしまいました。去る方に質問をするのもどうかなと思いましたが、逆によくわかった方がいる間に疑義をただし、次の教育委員会につなげていかなければいけないと思い質問することといたしました。  ことし1月、広島の方から抗議の電話をいただきました。それは朝日新聞の記事を見てのものでした。その記事は、県立高校在学の女子生徒に学校徴収金を支払わせるべく、原則禁止をしているアルバイトを勧め、通帳とキャッシュカードを預かるよう元生徒や保護者に提案し、アルバイト代から計約7万円余りを学校側に支払った。女子生徒はその後退学し、その際、学校は通帳とキャッシュカードを返したという内容でありました。もし新聞記事が本当ならばこれは大きな問題と考えます。責任問題、処分にも発展する内容だと思います。人権問題でもあります。この新聞報道について、教育委員会では1月の常任委員会でわずか2ページの報告書の提出でもって報告をされています。そこには責任問題については書かれておりません。関係者に処分らしい処分もされておりません。また、謝罪されたかどうかも書かれておりませんでした。この記事が出て県にも40件の苦情や意見が寄せられています。常任委員会で報告はされましたが、県民に対して正式な発表もなく、それで事足れりとしていることに違和感を覚えています。県教育委員会がどう思っているのか県民には現実わからないのが実情です。全国版に載った記事なので県民のみならず、全国民に対して厳しい認識を抱かせたままになっているのではないかと思います。  この事件の相手方は、昨年9月児童手当を差し押さえられたとして県と係争中です。今回の事件は裁判に提出された訴状に記載されている周辺状況をもとに書かれているとのことであります。担当課に尋ねましたところ、新聞社は訴状だけではなく県教育委員会に対し裏づけ取材をされたということですが、この新聞記事は果たして正しいのかどうなのか、まず、教育長にお尋ねをいたします。  裁判の対象となっている事件は知事部局のものであります。訴状の内容をもとにした記事とはいえ、直接裁判とは関係ないと思われますが、教育委員会が抗議なり、意見を表明することは裁判への影響があるのか、また許されるのかどうか知事にお答えをいただきたいと思います。  次に、行政同士での連携についてお尋ねをいたします。  事件の当事者の家族は、一方で税の差し押さえ問題で知事部局と訴訟を起こしております。同じ一家での問題でありますが、相手は知事部局と学校当局です。それぞれの行政部局同士が一方でそういう状況があると知っていたのか。知らなかったとしたら縦割り行政の弊害と考えられ問題であると思います。知っていたとしたらなぜこのように寄ってたかって追い込むのか、これが世間一般の率直な思いではないかと思います。どちらにしても問題が大きいと思いますが、どうだったのか、知事と教育長にお尋ねをして、第1回目の質問といたします。 ◯副議長(斉木正一君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、第1点目といたしまして、事業仕分け、棚卸しにつきましての御指摘を何点かいただきました。  まず、第1点目として、政治的判断の強い事業をどうするかなど、いろいろと対象事業の選定については問題、課題がある。事業仕分けの対象事業の選定をどうするのか、選定の前提条件などどういうふうに考えるのかというお尋ねをいただきました。また、第2点目といたしまして、事業仕分けの結果に従わない原則を定めておく必要があるのではないかということでのお尋ねもいただきました。  事業仕分けにつきましては、公明党さんがかねてから御主張されておられましたし、このたび国がやったことで非常に脚光を浴びるようになったと思います。その核心部分というものは透明性のある舞台によりまして、担当している部局でなくていろんな角度からその内容を精査をする。そしてその結果をまたこれも公表することで事業の見直しというものを強力に、そして公正にやっていくことができるのではないかという、そういうことだろうと思います。  我々も今回事業棚卸しをやってみましたけれども、4億円を優に超える効果が得られましたし、議員のほうからも御指摘いただきましたが、職員も参加をすることで問題意識を新たにすることができたと思います。それをさらに明年度は外部から直接参加をしてもらうようなことなどを改善して、新しい鳥取県型の事業仕分け、事業棚卸しを実施をしたいというふうに考えます。  ただ、いろいろと反省点もこれまでも重ねて出されているところであります。例えば国のほうの事業仕分けでも30分とか、余りにも短い時間で議論をしているのではないか、あらかじめシナリオも書いてあったのではないかというように指摘されたりしております。こういうようなことなどを考えていろいろと改善をしながら鳥取県としてはやっていくべきではないかと思います。  一つの進め方として、この事業仕分けの明年度のやり方の前提として、まず我々のほうでは工程表を回すということ、PDCAサイクルをその部局自体が回すというのを強化したいと思います。その上で、従来からやっていることでありますが、サマーレビューをしていく、これもかなりの範囲でやっていこうということにいたしております。こういうような見直しをベースにしているわけでありますけれども、特に外部の目が入るような形での事業仕分けが望ましいと考えられるようなこと、そういうことをピックアップしまして項目を、ことしですと200項目余りありましたけれども、それが時間的にいいのかどうかということはありますが、よく作戦も練って事業仕分けの対象項目を選定させていただき、そして事務事業の見直しに充てていきたいと思います。政治的な影響が強いかどうかでメルクマールを考えるのは、私はいささかどうかなと思います。むしろ、今までも事業棚卸しなどやってきたことでありますが、例えば県単独事業のように県費が入る余地が非常に大きいものだとか、県としてのコントロールがききやすいものなどを中心にしたり、先般、議場でもございましたけれども、ぜひ今度は外郭団体、独立行政法人だとか県の特別会計、そうしたものも優先的に対象にしてはどうかというようなお話もありました。今回、議場でもこの問題についてはいろいろと御意見もいただきましたので、そうした御意見を踏まえて事業仕分けの対象事業の選定に当たっていきたいと考えております。  そして、従わない原則を定める必要があるのではないかということでありますが、これは従わないものを我々であらかじめ決めてしまうと、結局事業仕分け自体が形骸化してしまうところが出てくると思います。ですからやはり一件一件この事業についてはこういう仕分けをいただきましたけれども、我々としては、知事部局としてはこういうふうに考えますと、そういうことで予算を組みました、議会でまた御判断をくださいと、こうやって一つ一つ議論をしていくということが重要ではないかと思います。最終的な予算の制定権は議会にあるわけでありますから、その議会の場で判断を求めることになるのでありますから、その前にともかくふるいをかけてしまって、こういうものは事業仕分けで出てきても言うことを聞きませんよというのを項目立てしてしまいますと、それに関連した分野は事業仕分け自体が無駄になってしまいますので、むしろ出てきた御意見の趣旨はきちんと踏まえた上で予算編成に臨んでいくのが当然ではないかと思います。  ただ、気持ちがわからないでもないわけでありまして、我々も1年間やってみてある程度こういうものはなるほどちょっと難しいなというのがわかってきました。例えば経過措置がどうしても必要だとか、それから県が先導的にやらなきゃいけないとか、そういうようなカテゴリーがあります。そういうものは、従わない場合もあるということは御了解いただいた上で仕分けに入ってもらうことは可能かなというふうに考えています。その辺は行財政改革局長から御答弁を申し上げたいと思います。  関連して、小児医療費助成についてのお話がありました。小児医療費助成につきまして、地方の上乗せ施策に対する国のペナルティーを廃止すべきだと、これを国に言うべきではないだろうか。さらに国の実際の医療費負担軽減の動向はどうなのか、鳥取県として拡充すべきではないだろうかというお話でございます。  これについては銀杏議員からもたび重ねて問題提起をいただきました。そのたびに私もお話を申し上げてきましたけれども、まず、国はペナルティーはやめるべきだと考えております。この点は国に粘り強く働きかけといいますか、提言をしてまいりました。これからもやる必要があると思っていますが、今のところ受け入れられていないという残念な状況にあります。  事業仕分けのお話も先ほど出されていましたけれども、事業仕分けであれば確かにこれは本来市町村がやるべきことだとか国がやるべきことになるのかもしれませんけれども、県としても一定程度の役割を先導的に果たすべき分野ではないかと思います。この子ども手当でありますが、今、お子さんを持つ親御さんなり御家族のアンケートをとりますと、やはり育児にお金がかかると、子供関係でお金がかかるというのが一番のネックになっています。2番目には、家事と仕事を両立をさせるような環境が求められるということが言われています。このお金のことにつきまして、新政権では子ども手当を支給するということになりました。この子ども手当が支給されればこうした医療費負担の関係も一定程度緩和されるとは思います。ただ、私は子ども手当のように一律に支給された場合、これがどういうふうに使われるかのほうがよほど大切なことでありまして、むしろ地方側で現場としてはどういうような子育て支援のサービスを提供するか、これが求められるのではないかと思っております。ですから、そういうように子ども手当が支給されるから逆にこうした助成措置はどんどん縮小、撤退をするという動きが全国的にないわけではありませんけれども、私は切り離して考えるべきではないかと思っております。そういう意味で、子育て王国鳥取のプランの中で小児医療費助成を拡充することにつきまして議論をしていくことを明記をさせていただきました。  これをもとにして新年度に入ったところで、4月早々か、あるいは5月段階か、ただ、次の予算編成も市町村も含めてありますのでなるべく早い時期に市町村と協議をする、課長レベルとかそうしたレベルの協議をする、そうしてどういうようなスキームを考えるべきか、あるいはやるべきでないという議論もあるでしょう、そういうような議論を闘わせる場を新年度早々につくらせていただきたいと思います。私としては子育て世帯の負担軽減のため、また子供たちの健康をどういうような世帯であれ確保するために、小児医療費助成については年齢の引き上げを検討したいと私は思っております。この点につきまして、市町村と新年度早々から協議に入りたいと考えております。  次に、先般報道がありました県立高校での学校徴収金の問題につきまして、2点ほどお尋ねをいただきました。  まず、第1点としましては、今回の報道が裁判におきます訴状の内容から起きてきた面があると。教育委員会の意見表明が裁判へ影響するものなのかどうかということでありました。  これは、特に要は司法批判といいますか、裁判批判自体を行おうというものではないでありましょうから、真実を明らかにするという意味で行政機関の一翼でありますが、教育委員会のほうで説明をしたいというのは、とめる理由は何もないというふうに思います。裁判は裁判で当然ながら原告側の主張に基づき被告との言論を闘わせ、事由心証の中で裁判所が判断をするというような仕組みになっておりますので、この教育委員会云々ということは影響するものではないと思います。  次に、事件の当事者の御家族のことを考えますと、税の差し押さえの訴訟を起こした関係と今回の教育委員会の関係とが同じ家の中の問題であると。そういうような状況認識がどのようになっていたのか、縦割りの弊害があるのではないかというようなお尋ねがありました。  これは今係争中の事件ということもございますので、詳細は総務部長のほうからお話をさせていただきたいと思います。  私どもとしては、片方で税については厳正に地方税法に基づいて手続を進めるということがあります。その際に、滞納処分などを行うときには非常に配慮が必要だと、慎重な配慮が必要だと思います。十分な家庭の調査だとか債務の集積状況とか、そういうものを見ながら場合によっては徴収について一定の猶予といいますか、そういうものを与えることは制度上もございますし、現に我々もマニュアルをつくってやっているところであります。今回もそういう中で起きている事象だということになろうかと思います。詳細は総務部長のほうから申し上げたいと思います。  他部局とその情報を共有できるかといいますと、特に税の場合は地方税法上罰則を伴う守秘義務がありまして、税の課税自体のことはもとよりとして、課税に当たって得た情報なども秘密の対象とされています。したがいまして、単純に情報共有をすることが制度上難しいというのを御理解をいただきたいと思います。ただ、今やっていることが、この議場でもお話があってやり始めたことも入っておりますけれども、滞納関係の文書を発出するときには多重債務者の相談窓口を同封して送るとか、そのほかいろんな福祉サービスなどを連携して使うように促すとか、そういうようないろんなやり方を今はするようになっております。相手を追い詰めるということではなくて、むしろドライに考えて、滞納の関係については地方税法の処分にのっとった厳正であり公正な手続を進めること、ただ、片方で、そうはいっても住民でありますので、住民の皆様に対する行政サービス、特に多重債務者の相談サービスだとかそうしたいろんなことがございますので、そうしたことへの対応も同時に税務当局には心がけるように申し上げているところであります。 ◯副議長(斉木正一君)門前総務部長 ◯総務部長(門前浩司君)私のほうから、現在、昨年9月に提起されました訴訟の現状について補足の答弁をさせていただきます。  当該生徒の父親の滞納に対しまして、東部県税局が平成20年6月に差し押さえ処分を行っておりますが、この差し押さえが実質的には児童手当の差し押さえであるということで、違法であるとして処分取り消しの訴えが提起されたところでございます。年が明けて1月と3月に口頭弁論が2回行われておりまして、第3回の口頭弁論が4月に行われるという状況になってございます。  私どもが主張をしているといいますか、確認をしている事実関係について改めて御説明をさせていただきたいと思います。  まず、滞納案件でございますが、平成18年及び19年の滞納でございまして、自動車税4件分、それと個人住民税2件分の滞納分に係るものでございます。  その後、県が行ったことを御説明をさせていただきますが、平成18年の6月20日を初めといたしまして、それぞれ納期限が来る20日後から督促状を発付させていただいてございます。差し押さえなど滞納処分の前提となる処分でございまして、地方税法の165条第1項などの規定に基づくもので、その法に基づいて行わさせていただいたものでございます。ただ、しかしすぐに差し押さえ処分を行ったわけではございませんで、18年の10月以降、催告書を出させていただいたり、また電話をかけさせていただいたり、また自宅や会社訪問など納税交渉を繰り返し繰り返し行いながら自主納付を勧めてきたところでございます。会社、自宅への訪問は10回に上っているわけでございますけれども、なかなか原告の方と面談できないというような状況が続きましたし、面談約束の不履行も3回、また分割納付の約束も8回にわたってほごにされたというような状況がございます。こうしたような状況から、これ以上納税交渉を行っても誠意ある対応はいただけないのではないかということで、当初の督促状を出してから2年後の平成20年6月に差し押さえを行わさせていただいたところでございます。県としましては、今申し上げましたように非常に丁寧に、また誠意を持って対応させていただいたのではないかというように考えているところでございます。  また、そういったことを踏まえまして、先ほど申し上げましたように平成20年の6月に差し押さえを行わさせていただきました。これにつきましては当該預金の原資の大部分が児童手当となっていることから、その預金自体が児童手当そのものであるということで違法として訴えがなされているわけでございますが、これまで議場で繰り返し答弁がなされておりますように、その属性を継承しないという最高裁判例に基づきまして執行を行ったところでございます。  以上、申し上げましたように本件の滞納処分、関係法例、また判例に基づいて適正に執行をしてきたものであると考えておりまして、そのように裁判の場でも主張していくということにいたしているところでございます。 ◯副議長(斉木正一君)中山行財政改革局長 ◯行財政改革局長(中山貴雄君)事業仕分けの結果に従わない場合の原則、あるいは類型化につきまして補足の御答弁を申し上げます。  今年度行いました事業棚卸しにおきましても幾つか棚卸しの結果と異なり、例えば市町村による実施が妥当なのだが、まず先行的な地域から実施するような例ですとか、あるいはスキーム自体を見直して計上したというような変更を行ったものもございます。ある程度、今回私ども鳥取県の事業棚卸しですとか、あるいは国の事業仕分けの例、あるいはほかの県の事業仕分けの例を見ますと、割と仕分けの結果と異なる類型化は一定程度可能でございます。例えば激変緩和措置をとる必要があるので段階的に廃止を行うですとか、あるいは市町村や団体との調整に時間がかかるため条件が整った地域から実施する場合、あるいは政策的判断によってきちんとした説明責任の義務を果たす上で実施する場合ですとか、事業内容を見直した上で実施する場合等、幾つかの類型化が可能でございます。具体的な事業仕分けの実施に当たりましては、知事も御答弁いたしましたように、こういったような類型につきましてあらかじめ御説明をいたして、その上で事業仕分け等を行っていただきたいというふうに考えているところでございます。ただ、こういったような仕分け結果という部分は十分重く受けとめるべきだと考えておりますので、仕分け結果と異なる場合につきましてはその理由等をきちんと公表、説明等をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◯副議長(斉木正一君)中永教育長 ◯教育長(中永廣樹君)銀杏議員から学校徴収金の問題にかかわって、2点御質問をいただきましたのでお答え申し上げます。  まず、1点目です。朝日新聞等で報道された事案ですけれども、これは生徒の学校徴収金の未納に係る県立学校の対応について、この記事の内容は正しいのかどうかというのが1点目であります。  朝日新聞等で報道されました事案ですけれども、これは東部の県立高校に平成19年の4月に入学した生徒に係るものであります。何紙かの新聞記事では、この生徒の保護者が鳥取地方裁判所に提訴している県税の滞納処分取り消し請求に係る訴状の中の提訴に至った背景について述べられている部分をもとに書かれているものというふうに理解をしています。議員のお話のとおり、教育委員会に対しても取材がございました。県教育委員会は把握している限りの事実はお伝えしたつもりでありますけれども、それが記事の中にはほとんど反映されてないというふうに我々は把握しています。その意味で事実とはかなり異なっている部分があるというふうに認識をしているところであります。こういうふうなことですので、教育委員会が確認しております事実を公の場でお知らせするというふうなこと、あわせて事実と違うことを一方的に報じられたように思いましたので、それに抗議の気持ち的なものも込めて、1月21日の常任委員会で説明、報告をさせていただいたところであります。  〔副議長退席、議長着席〕  その概要を改めて申し上げますけれども、この生徒の家庭は経済的に厳しい状況にあったということは事実のようであります。入学以来、授業料と研修旅行などに必要な費用ですとか教材費などに必要な費用、こういうふうな学校徴収金も滞納がずっと続いておりました。滞納が続く中で、平成20年2月になって1年生のその生徒から授業料を払うためにアルバイトをしたいという申し出がありましたので、学校は生徒の思いを尊重してアルバイトを許可したものであります。なお、授業料については生徒がアルバイトを始めた後、学校が勧めておりました授業料減免の申請が出ましたので、教育委員会が平成19年5月分にさかのぼって全額免除をしたというところであります。また、一方の学校徴収金のほうですけれども、これは生徒が修学旅行に参加するための経費が主なものであります。生徒も保護者も研修旅行には参加したいという思いが強くありました。学校としても何とか一緒に行けたらいいなというふうな思いで保護者と話し合いを重ねていたというふうに承知しています。生徒はアルバイトで得た収入を学校徴収金に充てようと考えましたけれども、それも家計のほうに回されるというふうな状況がありました。何かよい方法はないかなということでいろいろなことを模索しましたが、その中で支払うことができそうな方法を幾つか学校から提案をしました。この提案は生徒、保護者とよく相談をして、最終的にアルバイトをして得たお金が入りますその口座に係る通帳とカードを学校が保管するということで、よく話した結果として合意したものであります。カードもずっと長い間預かったように書いてありますけれども、2カ月半くらい預かっていたというふうに思っています。  その後、この生徒は2年生の平成21年2月に自主退学をいたしました。これはこの生徒が進路についていろんなことを考えておりましたので、進路変更することを決断したものというふうに聞いておるところであります。なお、生徒が退学をしました折には、これは学校から聞いていますけれども、保護者、生徒ともそろって学校を訪ねられて担任の先生等にお礼を述べて帰られたというふうに聞いております。決して学校がやめさせたり、やめざるを得ない状況に持っていったというふうなものではないというふうに私は認識をしています。  新聞記事では、授業料や学校徴収金を徴収するために学校が生徒にアルバイトを勧めたというふうに書いてありますけれども、これは先ほど申しましたように生徒が自分でアルバイトをするというふうに学校に許可を求めてきたものを、いろんな状況がありましたので柔軟に対応して許可したものであります。それから、また別な新聞では、学校が暗証番号を聞かなかったため生徒を金融機関まで同伴させ現金を引き出した。つまり学校が引き出したというふうなことまで書いてありますけれども、これも時間の関係があったので先生が車に乗せて連れていきましたけれども、一切そういうふうな指示を無理やりさせて引きおろしたということはありません。ちょっと説明しますけれども、生徒はアルバイトをしておりましたので、これは市内でアルバイトをしていました。学校が終わってからすぐ行かないといけませんので間に合いません。生徒のほうから先生のほうに近くの引き出す場所まで乗せていってほしいというふうな、そういうふうな思いが伝えられたので、それをもとにして先生は乗せていったということです。しかも2回だけであります。教員がそこで、目の前で引き出さすということは一切ありません。こういうふうなことであります。  以上のことから、学校及び関係者は、この生徒のために親身になって何とかならないかなということで努力していたというふうなことでありますので、新聞記事で報じられている内容とはかなり違っているというふうに私は理解しています。私どもの説明にもかかわらず、一方的な記事になっていたというのは私としましても極めて遺憾だというふうに思っているところであります。  2点目であります。生徒の家庭の状況について知事部局と学校のそれぞれが知らなかったのかと、縦割り行政の弊害ではないかというお尋ねが2点目でございます。  情報の共有ができないかというふうな話ですけれども、教職員は生徒や保護者と話をよくする中で家庭の経済状況が厳しいということは推測はできましたけれども、その具体的な内容まで、あるいは状況まで保護者から教えていただかない限りは詳しくはなかなか前もってはわかりません。また、同一行政機関であっても法例の根拠なく税務情報の共有はできないというふうなことでありますので、こうした情報の共有は現実的には難しいのではないかなと思っております。さっきも申しましたように学校は生徒の家庭の厳しい状況を推察して、学校としていろいろな配慮をしております。議員がおっしゃるような寄ってたかって追い込むようなことはしてないというふうに私は考えております。 ◯議長(小谷茂君)16番銀杏議員 ◯16番(銀杏泰利君)それでは、追及して幾つか質問を続けたいと思います。  事業仕分けでありますけれども、外部の目に触れるのが望ましいような事業を特にやりたいのだということとか、政治的な意向の強いようなものを特に除くようなことはしないというふうなこともおっしゃっていただきました。一つ一つ従えないとしても丁寧に説明をしていき、議会の場で判断をしていただくのだということでありました。それで、政治的意図の部分でありますけれども、逆に事業仕分けというのは、過去に極めてそうした政治的と思って行われた事業だが、現在ではそのねらい、役目が終わっているとか、責任者もかわって公約とも違っており、削ってもいいのだけれども、なかなか大義名分が立たないような事業とか、そうしたものを削る手法としても実はこの事業仕分けというのは有効ではないかなというふうに思っております。切りにくい事業に対してこれは有効に使えるというふうな手段かなと思っております。  それからまた、先ほど外部の目に触れたほうがいいような事業というふうなことをおっしゃいましたけれども、行政が行政のためにふやすような仕事というのもあるのだろうなというふうに思っております。そういうものも本当に外部の目にさらしていただきたいなと。民間でもそうなのですけれども、自分のところの部署で仕事が少なくなると仕事をつくり始めるのです。仕事がなくなると自分の身が危ないということで、その身を守るために仕事をつくってしまう。要らないような仕事をつくって忙しげにしているということがよくあるわけでありまして、過剰な分析をしてみたり、仕事の成果の見ばえをよくすることにも過大に力を入れるとかいろいろあるかと思います。役所ではそういうような体質があるのではないかなというふうにも思っておりますので、おっしゃいましたが、外部の目が届きにくい、表に出にくい事業をぜひ対象にされたいなと。もう一度知事の所見を求めたいと思います。  それから事業仕分けと議員とのかかわりでありますけれども、昨年国で行いましたときには、国会議員を交えてというか国会議員が中心となってされたわけであります。県でも議員を交えてやったほうがいいのかどうか。構想日本では議員が加わるなり、そういう委員会を立ち上げて行うことを推奨しております。私も機会があればやってみたいなと思いますけれども、ただ、議員には決算審査の場もありますので、そういった場に加わると自分が下した判断にとらわれてしまって、また決算の場でのこの現場対応といいますか、現実的な対応、判断が難しくなる場合もあるなというふうに思っております。ということで、事業仕分けに加わってしまうとあとで口を挟みにくくなるといった部分があるのかなというふうにも思っております。そこで、今の段階では事業仕分けの結果を議会のほうの決算審査にリンクさせることでいいのではないかと私自身は思っておりますけれども、仮に知事部局で行う事業仕分けに議員が仕分け人として入って参加することに障害があるのかどうか、知事の所見を求めたいと思います。  子育て支援につきましては年齢の引き上げをしたいと、この4月、5月、早い時期に市町村と協議をする場をつくりたいというふうなことでおっしゃいましたし、子ども手当の支給とは関係なく拡充すべきでもあるというふうにもおっしゃいました。また、ペナルティーについては、これは国へ引き続き働きかけをしていきたいというお話でございましたので了としたいというふうに思います。  学校の徴収金でありますけれども、教育長には裏づけ取材の内容が記事に反映されていない、事実と異なっているというふうに明言もされました。今回の問題はあくまでも生徒の意思と希望によるものだということもおっしゃっていただきました。そういったことでありますが、朝日新聞なりほかの新聞にも出ておりましたが、この新聞記事を丸のみするならば、この事件は教育的配慮が実に著しく不足するものだなと、そういうふうに判断をされるなというふうに思うわけですね。今回の事件の報道を知って、全国の教員なり国民は本当に鳥取の学校がとった行為が問題なしというふうには思わないと思うのですね。これはおかしいなというふうに思うのだと思うのです。実はその記事には大きく白抜きで書いてありますのが、「生徒の通帳、学校が差し押さえ」というふうなこういう文字が大きく躍っているわけでありまして、これは本当にひどいものだなというふうに思っております。また、1月14日付の朝日新聞には「声」の欄に「生徒退学、学校の対応に怒り」との投書が寄せられてもおります。波紋が広がっておるということであります。こういう状況であるならば、全国に発信された報道記事をそのままにしておいては鳥取県教育委員会が誤解されたままになってしまうと、汚名を着せられたままになってしまうと。何よりも生徒のことを一番心配し、心を痛めておられるであろうこの担任の先生、関係者の心情を思うといたたまれないというふうに思うわけであります。新聞報道が間違っているということであれば新聞社に正式に抗議をすべきであります。訂正記事を要求していいと思うのです。せめて県教育委員会の言い分を公にきちっとすべきであるというふうに思いますが、教育長の答弁を求めたいと思います。 ◯議長(小谷茂君)平井知事
    ◯知事(平井伸治君)(登壇)事業仕分けについて重ねてのお尋ねをいただきました。  まず、削る手法であるとか、それから外部の目が届きにくい、表に出にくいような事業を仕分けするということは非常に意味があるのではないかというお話をいただきました。  そのとおりだと思います。我々も実際に事業棚卸しをさせていただいて、削るような際にはやはりこういうような仕組みが動かすエンジンになるなという感じは持ちました。と申しますのも、結局、毎年やっていることだとか何かいわくがあって始めたことというのは、よほどエネルギーを出さないとなかなかやめられないことがあります。これは行政組織だけでないのかもしれませんけれども、組織的な弊害としてよく指摘されるところであります。だんだんやめないものですからどんどんと膨張していくと、そういうことになりがちだということがありまして、これを削り込んでいくためには第三者的な目を入れてやること、そこを出発点にしてやれば漫然と予算要求を出されることをシャットアウトすることができるということになります。ですから、その点では確かに効果がある部分があると思います。  また、外部の目が届きにくいところをぜひ取り上げてくれというのもおっしゃるとおりだと思います。これも中で組織の自己防衛に走るようなことはないだろうかということもあります。なかなか外の人だけでは基準として事業仕分けの対象にしづらいところがあるかもしれませんので、中でもいろいろと議論をしてみて、資料もつくらせていただきまして、仕分けになる方々と協議をして、それで実際にではこういうものを、ふだんなら中で隠れているような事業でありますけれども、一遍やってみましょうということで対象に加えていくことをぜひ心がけていきたいと思います。  次に、議員の皆様が仕分け人になることについてどうなのか、障害があるのかどうかというようなお尋ねでございます。  この事業仕分けの構想日本の仕組みは、政治家をもとから排除していないのは事実であります。現に京都府ではある会派が事業仕分けをやるというようなことを実践されています。ただ、私は、これは自分の考え方ということで申し上げますが、構想日本はそういうやり方をされて、現に今回、国のほうの事業仕分けも国会議員が総動員されてやっておられますけれども、恐らく予算査定の段階というのは中立的な部分はどうしてもあると思うのです。国のほうは議院内閣制でありますので、その議員がその内閣の予算要求のところにかかわってくるというか、ある程度政治家がもともと内閣の中に入っていますので動いてくることは考えられないわけではないのかもしれませんけれども、本来、地方政府、自治体では典型的にそうでありますが、我々のほうで、執行部のほうで取りまとめた予算を政治家である議員の皆さんに審査をしていただき、そして最終的に議決をするというのが本来の姿ではないかと思います。予算の作成過程で議員の方が公的にかかわるということになりますと、そのことを今度は自分でまた議決をするという、二重人格の立場になるわけであります。私は峻別していったほうが制度的にはすっきりするのではないかというふうに考えております。 ◯議長(小谷茂君)中永教育長 ◯教育長(中永廣樹君)もし教育委員会が間違っていないというのであるならば、新聞社のほうに抗議をすべきではないかというお尋ねであります。  先ほど申し上げましたように、県の教育委員会として学校のほうからいろんな聞き取りをして確認した事実や経過を踏まえますと、訴状に書かれていることがすべて真実だとは考えておりません。このため、これも先ほどお話しましたけれども、県の教育委員会が確認している事実を公の場で示すべきというふうに考えまして、1月21日の常任委員会で報告をさせていただいたところであります。抗議というのはどこまで行くのかなということでありますけれども、先ほど私は事実と違っていることを一方的に言われたように思ったので抗議の気持ちを込めてというふうに言っていますけれども、どういう形かわかりませんけれども、正式に抗議をするとなると、これについては、報道関係者の皆さんにとっては取材とか報道の自由というふうなものがありますから、そことぶつかる部分がまた一方にはあるというふうに私は考えているところであります。そういう意味で、直接的に今回について抗議をしたというわけではなかったということであります。ただ、さっき言いましたように、常任委員会は報道の方が入っていらっしゃいますから、皆さん方はそこで十分我々の話を聞いてくださいますので、何らかの形でそこで報じられるのではないかなというふうに思ったところであります。  取材、報道に当たっては、当事者の一方的な主張によらないで、ぜひ確実な取材をしていただいて、公平公正なものになるように強く私としては要望したいというふうに、希望したいというふうに思っているところであります。こういうふうなことについて、報道機関の皆さん方と意見交換もしてみたいなというふうに思っているところであります。 ◯議長(小谷茂君)16番銀杏議員 ◯16番(銀杏泰利君)引き続いて質問をさせていただきます。  学校徴収金の問題であります。報道関係者の方といろいろ意見交換もしてみたいということでありましたけれども、きちっと公に本当に広く伝わるような方法でしていただきたいと今でも思っております。  今度はちょっと当事者のことについてお話を聞きたいなと思いますけれども、情報が不足しておりましてよくわからない部分、当事者の方の状況はよくわかりませんけれども、現実、授業料は減免になっておるということで、大変な一家の状況というのは推察できるわけですけれども、何かしら行政としてできなかったのかなというふうな思いがいたしております。知事のほうからはいろいろと担当の方からも答弁がありましたけれども、多重債務の情報などを入れたチラシなどを同封するのだというふうなこともおっしゃいましたけれども、その一家、または生徒個人を本当に大切にするというか、一県民を大切にする、そうしたセーフティーネットが今回働いていたのかなというふうな気がいたしまして、もっとほかに方法がなかったのかと、いろんな制度がほかになかったのかなというふうにも思ったりします。知事と教育長にこれは答弁を求めたいと思います。  もう1点、アルバイトの問題で、新聞報道では許可基準を満たさないアルバイトを許可して、そのアルバイト代から生徒が払ったということでありますけれども、こうしたことのためにやるアルバイトを許可するということは今まで結構あるのでしょうか。それからあと、そういうことに対しては教育的な観点で、教育的効果とかねらいみたいなものはあるのでしょうか。教育長にこれについては答弁を求めたいと思います。 ◯議長(小谷茂君)平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて高校の徴収金の問題につきましてお尋ねをいただきました。  先ほど申しましたように、行政の対象者としてのみならず、片方で住民の方として、住民という存在として、あるいは生徒ではありますけれども、地域に暮らす子供として一定の保護なり、行政サービスの対象となるべき存在であろうかと思います。したがいまして、今回のケースでも本来であれば奨学金制度でありますとか、あるいは就学援助だとか生活福祉資金の貸し付けとか、生活保護の対象となるのであればそういうような事業でありますとか、そうしたいろんな手だては本来はあるはずだと思います。どうもコミュニケーションがうまくとれなかったことが結局そういうサービスを利用することにならなかったり、あるいは御本人のほうがそういうことを御家族として選択をされなかったりということではないかと思います。ちょっとその辺の詳細な状況は我々もわかりかねるところがありまして、教育委員会のほうでいろいろとこの子供に対しては私が申し上げたいろんな手段は多分あるでしょうから、そういうことの相談なり指導もあったのではないかというふうに思います。いずれにせよ、同じような非常に追い詰められたといいますか、厳しい状況に置かれた生徒に対してスクールカウンセラーも配置をしたりもいたしておりますけれども、カウンセリングなどさまざまなセーフティーネットを張っていって、それで家庭の状況がどうあれ、教育としては円滑に本人が受けられるような工夫をする必要があると考えております。 ◯議長(小谷茂君)中永教育長 ◯教育長(中永廣樹君)銀杏議員から重ねて2点御質問をいただきました。  まず、1点目ですけれども、県の教育委員会としてセーフティーネットを働かせるという意味においてほかに方法はなかったのかという御質問が1点目であります。  先ほどもお話ししましたように、学校としては授業料減免を行うように、手続をしていただくように話をして、やがてこれが受け入れられて授業料減免のほうにつながっていったということがあります。  それから、普通は、一般的にはいろんな基準がありまして、生徒が申し出たらすべてアルバイトを許可するわけではありません。やはり学業が大事ですから、学業に専念できるような状況も残しておく必要がありますから、そういう意味でありましたけれども、しかしこの場合はアルバイトも許可したということであります。それから奨学金に関する情報提供も行っていたということであります。ただ、なかなかそれにすぐに応じてくださらなかったところもあったというふうに聞いています。それで今セーフティーネットに当たるようなものを3つ申し上げましたけれども、これ以外にももしかしたら教育委員会とは直接結びつかない、もっと広いものもあったのかもしれないというふうなことについては、もう少し検討する必要があったのかなという気は私としては今しておりますけれども、ただ、繰り返します。学校のほうでは一生懸命その3つについては有利になりますように提案をしていたというふうなことはあると思っています。それから担任のほうもいろんなことがありましたのでよく相談に乗っています。ここのところも気持ちの上でのセーフティーネットといいますか、そういうふうなことは私は学校のほうはやっていたというふうに考えているところであります。  2点目です。今までこういうふうにアルバイトを許可するというふうなことはあったのかと、教育的なねらいがあったのかどうかというお尋ねでございます。  今回のように、経済的に家庭が苦しくていらっしゃるところについて、さっき申しましたように申し出があった場合は、基準はありますけれども、基準を弾力的に運用したりすることをしながら許可をするということは学校ではあり得ることであります。しかしながら、繰り返しますけれども、授業料等や学校徴収金を払わせるためにアルバイトを学校のほうから申し出て強いるというふうなことはあってはならないというふうに思っていますし、こういうことはしていないというふうなところであります。そういう意味で、学校のほうとしては教育的に効果とかねらいを持ちながら生徒のことを考えて、生徒、保護者と学校とが一緒になって相談した結果であるというふうに考えているところであります。 ◯議長(小谷茂君)16番銀杏議員 ◯16番(銀杏泰利君)学校徴収金の問題ですけれども、ある新聞の記事ではこう書いてありました。生徒はその後、学校が嫌になったとして退学をしたと、こういう書きっぷりであったわけでありますけれども、先ほど来の教育長の答弁を聞いておりますと、本人の進路選択によってやめられたと。それで、母親なのでしょうか、一緒に来られてお礼を言って帰られたというふうなお話もありました。ということで、決してそうした嫌になって退学したのではないというふうには思っておりますけれども、心配なのは生徒さんがその後どうされておるのかなと、そういうふうなことで、ある意味前向きな気持ちでやめられたのであれば心配は必要ないかもわかりませんが、その後どうしておるのかなということを心配しております。親は裁判の係争中でもあるということで、いろんな意味で心にダメージを受けているのではないかなというふうなことも考えたりもするわけですけれども、その点について知っておられることがあったら、報告できるようなことがあったら教えていただきたいと思いますし、何かしらダメージを受けておられるようであるとするならば、そのケアをするようなお気持ちがあるのかどうなのか、教育長にお尋ねをしたいと思います。  もう一つ、新政権が高校教育無償化、つまり授業料無償化をされようとしておりますが、となると保護者の負担が軽くなるわけであります。それにあわせて学校徴収金やPTA会費など、いわゆる便乗値上げをしようとする動きがあるのではないかと、そんな心配をするわけですけれども、この点について対応方どうするのか、教育長の所見を伺いたいと思います。 ◯議長(小谷茂君)中永教育長 ◯教育長(中永廣樹君)当該生徒さんがやめられた理由ということですけれども、さっきお話ししましたように、学校の対応の仕方がよくなくてそれでやめたということでは決してありません。本人さんが仕事をしながら頑張っていきたいというふうにお考えになったので、学校のほうはそれを尊重していったつもりだというふうに聞いています。  その後、アルバイトをされているところで仕事をずっとしておられました。しばらく何カ月かしておられたのは学校のほうは聞いています。ただ、その後、どういうふうになさったのかというのが、最近の一番新しい状況はわかっていません。それが1点目です。  もしダメージがあったらケアということでしたけれども、この生徒さんはやめられた後も学校に1回来られました。担任の先生といろんな話をして帰られたというふうに聞いていますので、その辺で大きなダメージがあって困っておられるというのではないというふうに、そういうふうな感触を得ているところであります。  2つ目に、この学校徴収金の問題にかかわって、授業料が実質不徴収になれば、逆にこの学校徴収金のほうの値上げがあるのではないかというふうなお尋ねでありますけれども、これは直接的に授業料がなくなったのでそっちを便乗値上げしようというふうな学校はまずないと私は思っています。それよりも、私は昨今の経済状況、雇用状況が非常に厳しいということを踏まえて、昨年の11月とことしの2月に全県の学校長会の折に直接私のほうから生徒の家庭の状況などをよく考慮して、いろんなことを考えて学校では対応してほしい。ついては、そういうふうな学校徴収金についてもできるだけ安くなるような方向をぜひ検討していただきたいということを申し上げました。そういうふうな意味で、学校としてはそういうふうなことはよく考えながら、配慮しながら対応するというふうに私は考えているところであります。 ◯議長(小谷茂君)16番銀杏議員 ◯16番(銀杏泰利君)最後に、午前中の上村議員の質問でもありましたが、現場感覚と公平性にすぐれた中永教育長の数々の功績を否定するものでは私の立場としてはありません。今回、中永教育長を信頼するからこそ議場という公の場で今回の事件について説明をし、主張をしてほしかったわけであります。このことを申し添えて質問を終わりますが、教育長、所感などがもしありましたらお願いをいたします。 ◯議長(小谷茂君)中永教育長 ◯教育長(中永廣樹君)さっきおっしゃってくださいましたように、我々は学校と一緒になって子供たちの、生徒のことを考えながら頑張ってきておりますし、これからも頑張っていくべきだというふうに考えております。今回、こういうふうに議場で質問をいただきましたことは、私はこの機会は私たちにとってはとても大事なことだったなというふうに思って感謝をしています。常任委員会でも説明させていただきましたけれども、こういう場面で我々なりの考え方や事実を説明させていただく機会が得られたということはよかったなと思っております。どうもありがとうございました。 ◯議長(小谷茂君)以上で、本日の一般質問並びに議案に対する質疑は終了いたしました。  本日、知事から、追加議案10件が提出されました。  お諮りいたします。  この際、これらを本日の議事日程に追加することに御異議はありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議はないものと認め、さよう決定いたします。  それでは、議案第79号「鳥取県教育委員会委員の任命について」から第88号「鳥取県廃棄物審議会委員の任命について」までを一括して議題といたします。  知事に提案理由の説明を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)ただいま追加提案いたしました付議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  議案第79号は、鳥取県教育委員会委員の任命についてであります。  中永廣樹氏の任期が来る3月31日をもって満了いたしますので、その後任として横濱純一氏を委員に任命しようとするものであります。  教育行政につきまして、高等学校教育改革、中等一貫校や高等特別支援学校の設置などの当面する課題がありますことから、現在、教育委員会事務局参事監兼高等学校課長であり、また、これまでにも高校改革推進室長、さらには倉吉西高等学校長などとして学校教育改革に手腕を発揮してこられました同氏のすぐれた見識や経験を教育行政に生かしていただきたいと考え、委員に任命しようとするものであります。  議案第80号及び議案第81号は、鳥取県収用委員会委員の任命についてであります。  松本啓介氏及び安谷潔美氏の任期が来る3月31日をもって満了いたしますので、引き続きこの2名の方を委員に任命しようとするものであります。  2名の方は、それぞれ弁護士、建築士としての経験や知識をお持ちであり、鳥取県収用委員会委員として精力的に活動していただいております。収用案件などの公正な審理のために、引き続きその卓越した御見識を生かしていただきたいと考え、委員に任命しようとするものであります。  議案第82号から議案第88号は、鳥取県廃棄物審議会委員の任命についてであります。  榎直子氏及び金川和子氏、杉山尊生氏、田中勝氏、西村正治氏、馬場芳氏並びに細井由彦氏の任期が来る3月31日をもって満了いたしますので、引き続きこの7名の方を委員に任命しようとするものであります。  7名の方は、それぞれ廃棄物処理施設の設置に関する紛争の予防及び調整などに関する公正な審理のために必要な知識や経験をお持ちであり、鳥取県廃棄物審議会委員として精力的に活動いただいております。引き続きましてその卓越した御見識を生かしていただきたいと考え、委員に任命しようとするものであります。  よろしくご審議のほどお願い申し上げます。 ◯議長(小谷茂君)以上で、提案理由の説明は終わりました。  お諮りいたします。  議案第79号から第88号までは、委員会付託等を省略することに御異議はありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議はないものと認め、さよう決定いたします。  本日の議事日程はすべて終了いたしました。  これをもって散会いたします。        午後3時13分散会    ────────────────...